【コロナと学校】9月入学 文科相がシミュレーション説明

学校の休校長期化を背景に急浮上した9月入学への移行について、萩生田光一文科相は5月8日の閣議後会見で、学習機会の保障を念頭に「子供たちにとって最高の選択肢は何かを第一に考えていくことが重要と考えている」と述べ、教育の国際化を狙った従来の議論とは違うとの見解を示した。続けて、今年の新学年のスタートを9月に後ろ倒しにする場合、義務教育の開始年齢が遅れることを踏まえ、「国際スタンダードよりも子供たちの学びが遅れてしまう。段階を追ってずらすことも一緒に考えなければならない。すごく大きなテーマだと思っている」と話し、さまざまなシミュレーションを積み重ねている現状を説明した。

9月入学について検討状況を改めて説明する萩生田光一文科相

9月入学については、都道府県や野党から導入論が持ち上がり、経済界からも支持する動きが出ている。政府は4月30日、杉田和博官房副長官が関係省庁の事務次官らに論点と課題の洗い出しを指示しており、6月上旬をめどに整理する考え。安倍晋三首相は4月30日、国会で「前広にさまざまな選択肢を検討していきたい」と答弁した。

こうした動きを踏まえ、萩生田文科相は「導入時期も含め、選択肢の一つとして検討している。学校の臨時休校がいつまで延長されれば本格的な導入検討に向けて動き出すのか、導入するとすれば、いつなのかについては、新型コロナウイルス感染症の今後の動きを十分に見定めつつ考えるべきことだと認識している」と述べ、学校の休校がどれだけ長期化するかをにらみながら検討する考えを示した。

9月入学を巡る文科省の検討状況について、「この時代の子供たちが、どうやって失われた数カ月をしっかり取り戻すことができるのか、さまざまなシミュレーションをしている。夏休みを短縮したり、土曜日の授業を行ったり、あるいは平日にさらに授業数を増やす案なども検討案には入っている」と説明。

さらに「学校教育は授業のコマ数の積み上げだけではない。集団活動の中で行事にみんなで取り組む、修学旅行や文化祭、体育祭もかけがえのない学校教育のテーマだと思う」と、学校行事の重要性を指摘。「そういったものを全部諦めて、ただ単に授業時間数だけを確保して前に進むということが、本当に子供たちにとっていいかどうか。そのことを考える中で、やむを得ない選択肢の一つとして、卒業時期を遅らせ、結果として9月入学に移行したらどうかという案が出てきている」と検討状況を明らかにした。

その上で「特に最終学年の子供は、もう後がない。高校3年生、中学3年生、小学6年生だけでも300万人の子供たちが学習機会を奪われ、その巻き返しができないかもしれない」と危機感を表明。「そういう事態が起こるならば、それを大きく保障する意味で、9月からやり直すのも一つの選択肢だと思っている」と話した。

今年4月の新学期をそのまま後ろにずらして9月を新学期のスタートとした場合、義務教育の開始年齢が国際的にみて遅れてしまう恐れがある。これについて、萩生田文科相は「そんなに慌てて社会にでることないじゃないか、この数カ月は大きなスパンでみれば大したことはないじゃないかとの意見もあると思う。だが、OECDのPISA(生徒の学習到達度調査)などは年齢でやっているから、日本は高校生で外国は大学生となると、やっぱり学びの環境が変わってくる」と、懸念を表明。

「国際社会としっかり伍(ご)していくには、せっかく入学時期をずらすなら、将来的には国際社会とカレンダーを一緒にしていくことも考えていかなければならない」と、抜本的な取り組みが必要になるとの考えを示した。

こうした課題を踏まえた9月入学の実現可能性を問われ、萩生田文科相は「新入生をどういう生まれ月で設定するかによって、一時的に新入生が数倍に増える。そういったことを含めて飲み込めるのかどうか」と、現実的な問題点を指摘。「誤解を恐れずに言えば、公立学校のスペースを考えると、教室はある。私立はほとんどフルに教室を使って運営をしているが、定員数を絞って選抜しているから、そういう課題は解決できるかもしれない。いろいろなシミュレーションをしている」と、検討内容を説明した。

次のニュースを読む >

関連
特集