【コロナと学校】途方に暮れる外国籍児童生徒

日本語指導が必要な外国籍の児童生徒にとっては特に、この長い休校期間中の家庭学習には大きな困難がある。外国籍児童生徒を支援するYSCグローバル・スクールの多文化コーディネーターであるピッチフォード・理絵氏と山田拓路氏に聞いた。

「学習で使う日本語」は別物

「丁寧な配慮を」と話すピッチフォード・理絵氏

同スクールでは一斉休校が始まった3月から、児童生徒の家庭学習をオンライン上でサポートするサービス「自習ルーム」を無償で開始した。ビデオ会議ツール「Zoom」をつなぎ、児童生徒らは学校の宿題や課題に取り組む。分からない箇所は、同スクールの講師たちがフォローする。4月以降は、利用者が1日80人を超えるほどニーズが高まっているという。

山田氏は「3月中は『長い春休み』ととらえていた保護者も、休校が長期化し、学習について不安を抱くようになったのでしょう。オンラインでつながって、みんなと学習できることで、子供たちは安心感を抱いているようにも思えます」と話す。

休校中の外国籍児童生徒への学習保障について、ピッチフォード氏は「日本語に不自由していないように見える児童生徒にこそ、丁寧に配慮してほしい」と指摘する。

「幼少期に来日した児童生徒の場合、友達とのおしゃべりやクラブ活動など、日常生活で使う日本語はこなせます。ですが、学習するための日本語スキルを獲得できていないケースが多い。例えば中学生になっても、小学1~2年生の漢字レベルで止まっていることもあります。『日常生活の日本語』と『学習でつかう日本語』は全くの別物ですが、なかなか理解されていない現状があります。そのため学校では『勉強ができない子』として認識され、適切な配慮や支援が行き届いていない児童生徒が多くいます」

そのような支援が行き届いていない外国籍児童生徒にとって、今回の臨時休校はかなりの負担になっているという。

「学校から日本語レベルに配慮された課題が出ているケースもあります。しかしほとんどの子供たちに、日本語のレベルに関わらず、日本人児童生徒と同じ課題が与えられています。彼らの保護者の大半が日本語に不自由ですし、学校も休校となると、手助けできる人が誰一人いません。いま子供たちは途方に暮れています」

「空白の休校期間」がもたらす困難

家庭のネット環境が十分ではないなどの理由から、同スクールの「自習ルーム」にすら参加できていない外国籍児童生徒もいると山田氏は説明する。

「兄弟の数だけ端末がなかったり、Wi-Fiを持っていなかったりと、環境が整っていない家庭も少なくない。端末の貸し出しもしているが、限界があります」

ICTを使った家庭学習の環境を整えるため、民間の支援の輪も広がっているが、日本語が分からない保護者は、このような情報にリーチしづらいのが実情だ。

山田氏は「私たちでもこれらのサービスをできる限り案内していますが、利用につながる家庭はほんの一握り」と話す。

日常の学校生活でも困難に直面しやすい外国籍児童生徒にとって、この「空白の休校期間」がマイナス要因となる可能性は計り知れない。

ピッチフォード氏は学校現場に望むこととして、「今回の休校をきっかけに、児童生徒一人一人の状況や事情にもう少し踏み込んで関心を持っていただけたら、子供たちは大いに救われる。見えづらくても学習言語としての日本語が未発達で、苦しんでいる子供がいること。日本人だけの家庭の子供と、多言語環境の家庭で育つ子供は、言語の獲得方法やスピードに大きな違いがあること。知識として学校の先生に知っていただけると、子供たちの支えになるでしょう」と語った。

次のニュースを読む >

関連

あなたへのお薦め

 
特集