【コロナと学校】9月入学 小中高の校長会は慎重姿勢

「9月入学」の賛否を問う、本紙電子版「Edubate」の読者投票では、5月12日午後7時半現在、「賛成」53%、「反対」44%、「どちらともいえない」3%と、意見はほぼ割れている。では小中高の校長会は、この議論をどう見ているのか。教育新聞の質問に共通して聞かれたのは、休校への対応という形で拙速に9月入学への移行を推進することに対する、慎重な声だった。

全国連合小学校長会の喜名朝博会長(東京都江東区立明治小学校校長)は「学習指導要領が定める授業時数をこなせないという、リミットが差し迫った状況を解決するためだけに、9月入学とするのは望ましくない」と話す。

いったん感染が収束したとしても、「第2波」として再び拡大する可能性があることを踏まえ、「社会全体の変革が必要な9月入学よりも、オンライン授業の環境整備を今のうちに進めておくなど、優先すべきことがあるのではないか」と指摘。

さらに「自治体からは学校再開への焦りが感じられるが、安全確保のための基準をしっかり作ることが重要。国には、特例として学習指導要領の柔軟な適用を可能とするなどの指針を早期に示してほしい」と求めた。

全日本中学校長会の川越豊彦会長(東京都荒川区立尾久八幡中学校前校長)も「学校だけでなく社会全体の仕組みを変えていく必要があり、きちんと議論をして進めるべき内容だ」と慎重。

授業時数の確保や、部活動の大会の開催には一定のメリットがあることを認めつつも、9月入学に移行して1学年の人数が増えた時の対応に触れ、「学級数が増えても教員の手当てができるのか、感染対策をしながらの教員の働き方はどうするのか。かえって教育条件が悪くなるのではないか。現場で必要となる数多くの対応について考えれば考えるほど、9月入学は厳しいと感じてしまう。現場の管理職や教員でないとそうした課題は想像しづらいため、声を上げていかなければいけない」と語った。

全国高等学校長協会(全高長)の萩原聡会長(都立西高校校長)は「会員の校長の間でもさまざまな考え方があり、全高長の意見として一本化できていない」と実情を話す。

生徒から9月入学を求める声があることに一定の理解を示しつつも、私見とした上で、「新型コロナウイルスへの対応として、数カ月のうちに学校を含めた社会全体のシステムを変えることには無理があるのでは。今後も休校など感染対策が必要となることを前提に、9月入学への移行よりも、オンライン環境の整備に力を入れていくほうが先ではないか」との考えを示した。

また、国に対しては、「生徒が不安に思っている進学や就職のスケジュールについて、学校再開前であっても早期に示してほしい」と求めた。

各校長会は今後も、学校再開や9月入学に関する議論の状況に応じて、各地の意見の集約や情報発信などを進めていく方針という。

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