新井紀子教授ら有識者と高校生 大学入試検討会議で提言

大学入試の問題点を探り、今後はどうすべきか議論する文科省の「大学入試のあり方に関する検討会議」の第7回会合が5月14日、WEB会議で開かれ、国立情報学研究所社会共有知研究センター長の新井紀子教授ら有識者4人と高校生2人が、さまざまな立場や視点から提言した。東京大学などの難関校を志す受験生がいる一方で、問題文をきちんと理解する読解力が身に付いていないなど、学ぶ力が欠如した受験生もいる現状を踏まえて、入試改革をどう進めるか、教科の枠を超えた提言が出された。

WEB会議で開かれた検討会議

「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトや、著書『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』(東洋経済新報社)などで知られる新井教授は「センター試験のメインの利用は数字上、国立大から私大にシフトしている」と分析した上で、文章をきちんと読み取る力などが身に付いていないまま、大学に進む学生が多い現状を嘆いた。

「少なくとも教科書を自力で読め、ノートをとれて、レポートを作成する基本的能力を身に付けて大学に進学する必要がある」として、「科目によらない基盤的、汎用(はんよう)的な読解力と記述力を問うべき」と訴えた。これは高度な内容ではなく、あくまでも「正確に読めているか」を問う問題に限定し、「指示を正しく理解できるか」「第三者に伝わる文を書けるか」を採点基準にすればいいとした。

数学で、問題文をきちんと理解しないと解けない「読ませる問題」を出題することも提言した。

入試研究に携わって通算30年近くたつという東北大学高度教養教育・学生支援機構の倉元直樹教授は大学入試の作問について、「受験生の層が広く、失敗が許されない共通テストは使命感でやっている。大学ごとの個別試験は、自分のところに入ってくる学生だから期待感がある」と、性質が大きく異なることを強調。「高度な学力測定のためには個別試験が必要」だとした。

また、2021年度の受験生について、「入試改革に翻弄(ほんろう)された世代。彼らが目標にしてきた入試の選抜方法を可能な限り実現する方策を考えたい」とした。

南風原朝和・東大名誉教授は、英語での民間試験導入などの入試改革が不調に終わったことに、「制度設計の詰めが甘く、崩れるべくして崩れた。工程表を最優先し、後戻りできない力学が働いていた」と理由を挙げた。その上で「大学入試で問う『大学で学ぶのに必要な力』が、学習指導要領の変更ですぐに変わるわけではない。急ハンドルを切るように、学習指導要領の変更に直接連動させる必要はないのではないか」と、スケジュールを重視した改革をいさめた。

英語に関しては「高校卒業段階での話す力の出来、不出来で合否が左右されるより、特に共通テストでは話す力、書く力の『土台となる力』をしっかり評価することが大事だと考えている」と考えを述べた。

共愛学園前橋国際大学の大森昭生学長は「高大接続で重要なのは学びの接続であり、入試はそのためのツール」だとした上で、「高校生は入試のために学んでいるのではない。それぞれが頑張ったことでチャレンジできる入試にしてあげたい」と力説した。

現役の高校生を代表して発言したのは都立西高3年の米本さくらさんと、山口県立岩国高3年の幸田飛美花さん。共通テストの導入に当たり、英語では従来の「読む」「聞く」に「書く」「話す」を加えて4技能を課し、民間試験を活用しようとしたことに、ともに否定的だった。

米本さんは「4技能全てを共通テストで測ることには無理がある」と訴えた。入試改革については、「今後の社会をけん引できる人材の育成のためには、大学入試からトップダウンで漸次的に変えていくのではなく、そこまでの教育の内容の見直しと並行しながら行うべきなのではないか」と提言した。

幸田さんは、周囲の高校3年生には、共通テストの英語で4技能を評価することに反対する声が圧倒的に多かったとし、「共通テストの後の個別入試で行えば、受験生の立場からすれば十分」と話した。「入試改革より先に、授業改革や、教育そのものを改革する必要があるのではないか」と厳しい視線を大人に向けた。

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