【コロナと学校】遅れた授業 次々学年まで繰り越しを通知

政府の緊急事態宣言が39県で解除されたことを受け、文科省は5月15日、授業時数の確保だけでなく、学校行事も含めて子供たちの学びを保障するため、学校教育活動の新たな方向性を示した通知を都道府県教委などに出した。休校の長期化で当初予定していた学校教育の指導を年度内に終えることが困難な場合には、特例的な対応として、最長で今後3年間を見通して教育課程を再編し、一部の授業や行事を次学年以降に繰り越すことを認めた。また、分散登校を念頭に、学校で行う授業とICT活用を含めた家庭学習を組み合わせることで、学校での学習活動を教師と児童生徒、あるいは児童生徒同士の関わり合いが重要な学習や実習に重点化することも明記した。

通知の内容を説明する文科省初等中等教育局の板倉寛・教育課程企画室長、滝波泰・教育課程課長、平山直子・健康教育・食育課長(右から)

同通知は5月15日付で、丸山洋司・文科省初等中等教育局長名で出された。冒頭、緊急事態宣言が解除された地域も含め、学校における感染リスクはゼロにはならないと指摘。当分の間、社会全体が新型コロナウイルスと共に生きていかなければならないとの認識の下、授業時数の確保とともに、学校行事も含め、「学校教育ならではの学びを大事にしながら教育活動を進めていくことが大切」として、「感染症対策を講じながら、最大限子供たちの健やかな学びを保障すること」を通知の目標として掲げた。

続いて、今年4月から新学習指導要領が順次全面実施されていることを受け、休校の長期化によって、年度当初に編成した教育課程を見直す際の基本的な考え方を次の3項目で示した。

〇学習指導要領に規定されている「何ができるようになるか」(育成を目指す資質・能力)を意識した上で、「何を学ぶか」(指導すべき内容)を明確化し、今般の事態を受けた様々な環境変化を踏まえて「どのように学ぶか」(指導方法)を柔軟に見直すこと。
〇その際、知・徳・体にわたる「生きる力」を子供たちに育むために、各教科等を通じて「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」をバランスよく育成するものとすること。また、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた指導方法の工夫・改善を図ること。
〇学校全体として、地域の状況や児童生徒一人一人の状況を丁寧に把握し、教科等横断的な視点で児童生徒の学校生活の充実を図れるよう、教育活動や時間の配分等を検討するとともに、地域や家庭の協力も得て児童生徒の学習の効果を最大化できるようカリキュラム・マネジメントを行うこととし、各自治体や国がその取り組みを最大限支援すること。

次に、学校教育は「教師から児童生徒への対面指導、児童生徒同士の関わり合い等を通じて行われるもの」として、登校日の設定などを工夫するよう学校現場に求めた。具体的には、感染リスクが高いとされる「3密」(密閉、密集、密接)を避ける分散登校を前提に、授業1コマを40分や45分に短縮して1日の授業コマ数を増やし、1クラスを午前と午後にグループ分けして時間割を編成する工夫などを挙げた。

その上で、こうした工夫を行っても、当初に予定していた内容の指導を年度内に終えることが難しい場合には、特例的な対応として、次年度以降を見通した教育課程編成と、学校の授業における学習活動の重点化を認めた。

教育課程編成では、「学校行事等も含めた学校教育ならではの学びを大事にしながら教育活動を進めていくことが大切」だとして、「令和3(2021)年度又は令和4(2022)年度までの教育課程を見通して検討を行い、学習指導要領において指導する学年が規定されている内容を含め、次学年又は次々学年に移して教育課程を編成する」と記し、最長3年間を見通して教育課程を再編し、一部の授業を次学年以降に繰り越しできることを明記した。

授業における学習活動の重点化では、分散登校を念頭に、個人でも実施可能な学習活動はICTなどを活用して家庭学習を中心に行い、学校の授業で行う学習活動については「教師と児童生徒の関わり合いや、児童生徒同士の関わり合いが特に重要な学習への動機付けや協働学習、学校でしか実施できない実習等に重点化する」ことを示した。

板倉寛・初等中等教育局教育課程企画室長は「特例的な対応は補完的な措置」とした上で、3年間を見通した教育課程の再編について、「今年度の授業内容が次学年に移されることで、次学年の授業内容の一部が玉突きで次々学年に移されるイメージを持っている」と説明。

こうした特例的な対応の対象範囲については「これから第2波、第3波の感染拡大が起きたときに、いまは年度内で授業時数を確保できるだろうと思っている学校が、そうではなくなってしまう事態がありうる。だから、今の段階でどのくらいが特例の対象になるか、正直に言って答えるのが難しい」と述べた。

また、授業における学習活動の重点化では、教科ごとに重点化すべき項目をどこにするかについて、板倉室長は「具体的には、教科書発行者と協力していくことを考えている。教科書会社が示している年間指導計画に、参考となる授業時数が含まれているので、そこに学校の授業で重点的に行う内容が具体例として追加される形だ」と話した。

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