大学入試改革に伴った新たな評価方式や調査書の在り方について考える、文科省の「大学入学者選抜における多面的な評価の在り方に関する協力者会議」の第3回会合が5月20日、WEB会議で開催され、高校側の委員が意見を発表した。日本私立中学高等学校連合会常任理事で順天中学高校の長塚篤夫校長は「受験生を多面的・総合的に評価するためには、一般入試でも面接を取り入れるべきなのではないか」と提言した。
調査書を使って受験生の主体性などを評価することについて、長塚氏は「多くの大学が苦慮しており、高校や生徒にとっても、どのように調査書が活用され、評価されるのか不透明」と指摘。
その上で、多面的・総合的な評価を実現するためには、一般入試では原則取り入れられてない面接のプロセスを加え、調査書は参考資料として活用するべきだとした。
さらに「これからの大学入試は、資質・能力を多面的・総合的に評価しなければならない」と強調。調査書に観点別評価が求められることに関しても触れ、「総合型選抜など丁寧な入試形式では有効だが、現在の一般入試ではさらなる形骸化を招く恐れがある」と警鐘を鳴らした。
全国高等学校長協会大学入試対策委員会委員長で、都立世田谷泉高校統括校長の石崎規生氏も、全高長が昨年7月に実施したアンケート結果を基に、多面的評価や調査書の電子化で高校現場が危惧する課題を発表。
石崎氏は現場の声を踏まえた上で、▽新たな調査書で大学は何をどのように評価するのかが不透明▽電子調査書で活用するシステムは万全なのか▽生徒や高校教員の負担を増大させないか▽地域や家庭環境など、教育格差が拡大しないか――と整理し、「大学入試で最も重視すべきは、公平・公正の保持。大学と受験生の信頼関係を保ち、実施されなければならない」と強調した。