夏の甲子園中止に 都道府県独自の大会検討は支援

日本高等学校野球連盟(日本高野連)は5月20日、オンライン形式で運営委員会を開き、8月10日から兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開催する予定だった第102回全国高校野球選手権大会と、代表49校を決める地方大会の中止を決めた。新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて臨時休校が長引き、部活動も再開できない高校が多い中、選手が十分な練習をこなし、感染リスクを極力抑えて開催するのは難しいと判断した。戦時中の中断時期を除くと、春夏連続の甲子園大会中止は初めて。都道府県の高野連で独自の代替大会を行う動きがあれば、財政的にも可能な限り支援したいとした。

全国高校野球選手権大会が中止されるのは、79年ぶり3度目。米騒動が全国に拡大した1918(大正7)年、戦局が深刻化した1941(昭和16)年以来となる。42年から45年にかけては戦争のため中断し、戦後の46年から再開していた。

今夏の全国高校野球選手権は地方大会を勝ち抜いた49校により、8月10日から16日間、甲子園球場で開催される予定だった。新型コロナウイルス感染症対策のため政府が発令した緊急事態宣言が4月16日、全国に拡大され、5月14日になって39県で解除されたものの、なお収束の見通しは立っていない。

全国で約3800校が参加し、49代表校を決める地方大会は6月下旬から8月初めにかけて日程を組んでいたが、部活動の休止で練習不足の選手たちが十分にプレーできない懸念や、けがの恐れもあり、予定通りに全ての地方大会を終えることが困難な状況になっていた。加えて、甲子園に集まるチームの長距離移動や、長期間同じ宿舎で過ごすことによる感染の恐れがあった。ボランティアの審判員や球場に待機する医療スタッフの確保も難しい状況にあった。

運営委員会では、いったん無観客での開催準備を進めた後に中止を決めた春の全国選抜大会と同様に、夏の大会も選手らの感染リスクを避けるために無観客や、甲子園練習、開会式の取りやめなどを検討してきたという。だが、夏の甲子園は開催期間が2週間以上に及び、代表校が全都道府県から集まることを考慮すると、感染と、長距離移動での感染拡散リスクが避けられないと判断した。

予選となる地方大会についても、休校や部活動の活動停止が春以降、長期にわたっていることから選手が十分な練習を積めておらず、けがのリスクが大きいことを懸念。授業時間を確保するため、夏休みを短縮する動きがある中で、学業の支障にもなりかねず、実施は困難だとした。大会の会期を先延ばしにすることも、全国の球児が集う甲子園大会は夏休み中にしか開催できず、難しいとした。

運営委員会と理事会の後、オンライン形式で行った記者会見で、日本高野連の八田英二会長は「球児の皆さんに苦渋の決断をお伝えする悲しい日となった」と切り出し、「高校野球を教育の一環とする限り、球児の安全、安心に最大限配慮した苦渋の決断」だとした。感染状況によって選手の練習環境に地域差があり、「全国の球児がフェアな状況で試合に臨めるとは言い難い」とも述べた。

この上で、全国高校野球選手権大会は中止するものの、都道府県の高野連が独自の判断で代替となる大会を行うことには、財政的にも可能な限り支援したいとした。その際には、全国高校野球選手権の開催可否を検討する過程で、選手らの感染防止のため、日本高野連が専門家らの意見を基に考えたガイドラインに即した形で開催してほしいとした。

日本高野連はまた、この日の理事会で、8月26日から6日間、兵庫県明石市と姫路市で開催する予定だった第65回全国高校軟式野球選手権大会の中止も決めた。

高校生のスポーツ大会では、8月に開催予定だった全国高校総体(インターハイ)も新型コロナウイルス感染拡大の影響を重く見て、4月26日に史上初の中止を決めている。春から全国各地の高校大会が相次いで中止となり、とりわけ、競技で実績を挙げてAO入試や推薦入試で大学受験を目指そうとする3年生にとっては、試合の機会を奪われたままで、深刻な状況にある。

萩生田光一文科相はインターハイの中止が決まった2日後の会見で、部活動を含む学校教育が安全に実行できることを前提に、「文部科学大臣杯のような大会を都道府県につくってもらい、その記録をAO入試や推薦入試で評価する仕組みをつくりたい」と述べ、文科省としても支援に乗り出したいとの意向を示している。

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