全国学力調査のCBT実施を検討 専門家会議WGが初会合

学校における学習者用コンピューターの1人1台環境の実現を見据え、文科省の「全国的な学力調査に関する専門家会議」は、全国学力調査のCBT(コンピューター使用型調査、Computer Based Testing)化に向けたワーキンググループ(WG)を設置し、オンライン方式による初会合を5月21日、開いた。同WGは、全国学力調査をCBTで実施する場合の技術的な課題などについて論点整理をし、夏に中間取りまとめを報告する。

全国学力調査のCBT化を巡っては、昨年4月に初めて出題された中学校英語の「話すこと」調査で、学校にあるコンピューターやタブレットに回答を音声入力する方式を採用。調査を受けた生徒数の1.6%、学校数の17.5%に相当する1万5298人、1658校で音声データの欠損などがあったことが判明している。

新型コロナウイルスによる休校の長期化で、学びの保障としてのオンライン授業が注目され、GIGAスクール構想の計画前倒しによって、今年度中に学校の学習者用コンピューターの1人1台環境が実現するめどが付いた。

これらの状況を踏まえ、同WGでは全国学力調査をCBTで実施した場合の環境整備や技術的な課題などを検討。学校におけるICT環境の整備状況を踏まえつつ、全国で実施可能な調査方法や体制、調査に必要となるCBTシステム、調査プログラムの在り方、全国実施に向けた工程、調査問題の作成・検証体制などを議論する。

CBTの利点を生かして、問題にレベルを設定し、異なる調査で得られた結果を比較できるIRT(項目反応理論)の活用も視野に入れる。同WGでは、今夏をめどに論点整理の中間取りまとめを行い、専門家会議に上げる方針。

この日の会合では、OECD(経済協力開発機構)のTIMSS(国際数学・理科教育動向調査)の一環で、国立教育政策所が国立大学の附属中学校を対象に試行的に行ったCBT調査の実施状況を報告。CBT化によって、解答から採点、データベース化までの流れが効率化され、解答ログを解析することで思考過程を可視化したり、新しいタイプの問題を出題したりできる可能性が示された。

また、その一方で、子供がキーボード入力などのコンピューターの操作に慣れていないと、力を十分に発揮できず、測りたい学力を測れなくなる恐れや、円滑な調査を実施できる十分なサポート体制を整える必要があるとの懸念も示された。

委員からは「何のためにCBTをやるのかを整理した方がよい。コンピューターのトラブル対応やセキュリティー対策、整備費がかかる。それらを上回るメリットがあるのかを押さえておくべきだ」「ICTリテラシーには生徒間の差がある。予備調査で生徒のコンピューターリテラシーや電子機器の利用頻度を調べて、同じ学力でも結果に違いが出るかを調べる必要ある。調査を悉皆(しっかい)で行うか、抽出とするかについても、改めて検討すべきだ」「CBTによって、全国学力調査の結果公表が非常に早く出てくるようになると、学校の指導改善が一層進む。不登校の子供も参加できるようになるのではないか」などの意見が出た。

同WGの主査である大津起夫・大学入試センター教授は、大学入試センター試験の英語リスニング試験の知見を踏まえ、「うまくやらないと現場が試験を実施すること自体に疲れ果ててしまう。システムや運用の両面から、なるべく負担を少なくした上で、教育効果が上がるようにしたい」と述べ、学校現場を意識した議論の重要性を指摘した。

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