【コロナと学校】分散登校や学校再開 現場教員の声

一部地域を除いて緊急事態宣言が解除され、各地の学校では分散登校を始めるなどしている。現場では、どのような工夫をしているのか。各地の教員に聞いた。


分散登校での対策や指導の工夫

5月に入ってから週に1~3回の分散登校を行っている宮城県内の公立小学校では、1クラスを2つに分け、児童は午前と午後に分かれて登校。近隣の別の小学校では、曜日に分けて分散登校している学校もあるという。

公立小の教諭は再開後に感じたこととして、「登校を喜ぶ子供と、不安に思っている子供の両方がいることを意識しなくてはいけない。それぞれにフォローが必要だ」と強調する。

また、1クラスの人数は減らしているが、3密を避けるためにグループ活動は行えないため、「例えばお互いが感じたこと、意見などを紙に書いて机に置き、それをみんなで見て回り、コメントを書き入れるような活動をしている」と工夫を語った。

「分散登校では、勉強するというよりも、その単元の学び方を伝えて、残りを家庭学習でやれるようにしている。そして次の登校日で解説をし、また次の学び方を伝えている」と、学校と家庭学習のハイブリッド型の学びを模索しているという。

5月中旬から通常登校しているという地方の私立小学校教諭は「空き教室も活用し、クラスを二つに分けて少人数で授業をしている。グループ活動はできないが、ソーシャルディスタンスを保ちながら、たくさん対話を取り入れるようにしている」と話す。

「長い休み時間は、子供たちを校庭で遊ばせてリフレッシュさせている。ただし、管理職も含め、なるべく多くの教員で子供たちを見守るようにし、休み時間終了後は速やかに手洗いの指導を行っている」と、子供たちの心身のケアに務めているという。

これから分散登校が始まる学校

県独自の判断で、緊急事態宣言の一部解除前の13日に、5月末としていた休校期間を1週間短縮した愛知県では、25日前後から分散登校を始める学校が多い。公立中の教諭は「クラスを半分に分けての分散登校が始まる予定だが、それでは学級づくりができない。その状況で授業を進めていくのは大変だと思う」と不安を漏らす。

「中学校では3月から休校が続いているので、新年度の生徒会も決まっていない。中学校では学級委員や係活動も重要なウエートを占めるので、分散登校では授業面だけでなく、そうした生徒の活動をどう進めていくか考えなくてはいけない」と話す。

休校中の課題についても、家庭学習では難しい単元は後回しにして、家庭学習でできそうな単元の課題を出すようにしていた。「最低でも5教科は成績をつける予定だが、3年生の評価がまっとうにつかないのはかわいそう。塾に行っている子供が有利になってしまうのはどうなのか」と頭を悩ませている。

また、6月中旬以降には、部活動も開始される予定だ。「3年生がいつ引退なのかわからないし、1年生はまだ仮入部さえできていない」と、手探りの中、部活動への対応も迫られている。

オンライン授業の可能性

長崎市立南小中学校では、休校中の4月22日からオンライン授業に取り組んでいる。小規模校のため、もともと教育委員会から授業用に配布されていたタブレット端末を活用することができた。

オンライン授業を始めている長崎市立南小中学校の岡田校長(ビデオ会議システムで取材)

岡田政宏校長は「本校の学区には、まだ十分なインフラが整っておらず、ADSL回線しかない地域もあり、その地区の児童生徒は学校の空き教室でオンライン授業に取り組んだ」と話す。今後のことも考え、公民館にネット環境を整えてもらえるよう交渉しており、地域をあげてインフラ整備に取り組んでいる。

同校では「Zoom」などを活用し、双方向型のオンライン授業を行っていたが、全教員にとって初めての取り組みだった。

「大変だったのは最初の1時間だけで、教員はすぐに使いこなせるようになった」といい、「学校には初めてのものに対する抵抗があるが、やったことがない人からは新しい発想は生まれない。今、生きた校内研修ができていると感じる」とメリットを強調する。

在宅勤務の教員は自宅からオンライン授業をしており、「教員が授業をするのは学校」という常識が崩れ、学校以外でも授業ができることが実証された。「これに慣れていけば、ゲストティーチャーとつなぐなど、新たな授業にも挑戦できる」と意気込みを語った。

宮城県内の公立小教諭は「比較的早くから登校日を設けていたため、休校中も含め、オンライン授業は行っていなかった。しかし、地域によっては教育委員会でオンライン授業の研修が始まるなどの動きがある。校内でもオンライン授業に向けて体制は整えつつある」と話す。

「ただ、オンライン授業を早くやってほしいという保護者と、端末や環境、仕事の関係などからできない・やりたくないという保護者もいる。これまで子供をネットから遠ざけるようにしてきたのに、どうすればいいのかと言った不安も聞かれる」と今後の課題を語った。

一方で、県内の感染者数が5人(5月19日現在)である徳島県の教諭は「感染者数が少ないこともあり、危機意識が低い人が多い。オンライン授業についても何も進んでいない状況で、ICT環境に関するアンケートなども行われていない」と焦りを感じている。

また、全国的に教育委員会が取りまとめて授業動画を作成した自治体も多くあったが、その地域の教員からは「再生回数は全く伸びていない」との声が聞こえてくる。「とても分かりやすいとは言えない授業動画がほとんど」といった厳しい意見も多かった。

愛知県の公立中教諭は「今後、1人1台体制が実現したとしても、オンライン教材などが使えないと意味がない。中身の充実も重要だ」と指摘する。

活動が制限される教科の苦悩、教員の負担増にどう対応するか

公立中の家庭科教諭は「調理実習はできないし、生徒同士が向かい合う形になってしまう被服室での授業も無理だろうと話している。授業中に子供の声をどのように拾っていけばいいのか、模索している」と苦悩を話す。

別の公立中家庭科教諭は「年間指導計画を見直して、調理実習などを伴う活動は後回しにし、まずできる単元から開始していくことを検討している」と話す。

体育科教諭も「野外の活動であっても、息が上がるような活動はできない。子供たちの体力も落ちているだろうから、身体をゆっくり動かすことから始めるしかない」と、大幅な活動制限へのもどかしさを募らせる。

また、公立中の特別支援学級の教諭は「1クラスの人数は少ないが、距離感をつかむのが難しい子もいる。指導の際はどうしても距離が近くなってしまうし、マスクができない子もいる。コロナ対策に重点をおいてしまうと、余計に子供たちの学校生活が難しくなってしまうのではないかと危惧している」と話す。

多くの教員から「これからの季節は、マスクをした上での熱中症対策が必要になる。エアコンをしながら、どのように換気をしたらいいのか」との声が聞かれた。「学校としての対応策も示されておらず、指針がほしい」といった切実な声が聞こえてくる。

また、すでに登校が始まっている学校では、児童生徒の検温表を確認して教室に入れるようにしているが、それに時間がかかるため、通常の勤務時間のかなり前から教員は対応に当たっているという。

「放課後は全ての机や椅子、ドアなどを消毒している。分散登校にせよ、通常登校にせよ、教員がチェックすべきことはたくさんあり、確実に仕事量は増えている。どのようにみんなで分担しながらやっていくか」と話す。

学校再開が急に1週間前倒しになった愛知県の公立中学校教諭は「これまでも市教委からの指示の変更が多く、もう何度も時間割を作り直している。早めに対応策を考えても無駄になってしまうことも多い。学校は非常勤の教員も多いので、急な時間割変更も難しい」と、対応の難しさを語る。

これからの学びについて現場教員は何を考えているのか

本格的に学校が再開されるにあたって、今、何を考えるべきなのか。

愛知県の公立中教諭は「勉強以外が大事な子供たちも多い。そのニーズにどう応えていくかを考えていくべきだ。学力の保障だけでなく、子供のモチベーションを保つためにも努力することがあるのではないか」と指摘する。

「今は、夏休みを減らすなどして、『いかにカリキュラムを終えられるか』に向かっている。そうではなく、どういう教育がいいのかというのを議論すべきで、『学び方を変えてみる』という方向に向かえばいいと思う」と話す。

宮城県の公立小教諭はWithコロナ、アフターコロナの教育について、「学校は知識を与えるところではなく、学び方を教えるところ。『学校は学び方を学ぶ場所』という意識改革が必要なのではないか」と語った。

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