【コロナと学校】EdTech活用し分散登校 つくば市

緊急事態宣言が解除され、各地で学校再開に向けた分散登校が始まっている。5月21日から分散登校を開始した茨城県つくば市立みどりの学園義務教育学校(毛利靖校長、児童生徒1283人)では、EdTechを活用し、学校に来ている子供と家庭で学んでいる子供をつないで、問題解決型の学習ができるようにする試みを開始した。

タブレット端末から健康状態を「自撮り」して報告する生徒

つくば市教委ではこれまでも、災害やインフルエンザなどによる休校に備え、市独自のeラーニングシステム「つくばチャレンジングスタディ」を備えていたが、休校長期化や第2波への対応を想定し、EdTechによる学びの保障の充実策を打ち出した。

具体的には、これまで利用していたシャープの教育グループウエア「スタディノート10」をクラウド型に変更し、学校だけでなく家庭でも、子供が書き込んだ回答を教員が集約してフィードバックできるようにした。また、「つくばチャレンジングスタディ」を改良して、個々の学習履歴を把握できるようにすることで、個別最適化された学びの実現を目指す。

5月22日に報道陣に公開されたみどりの学園の分散登校では、この日登校していた9年生(中学3年生に相当)の1クラスがタブレット端末から「スタディノート」を使って活動した。中には、感染リスクへの懸念から自宅から授業に参加する生徒もいた。

健康観察では、それぞれの端末で生徒が「自撮り」した写真とコメントを教員に送り、健康状態を確認。「Zoom」を使って同時双方向型の授業を行った数学では、デジタル教科書の練習問題に取り組み、どれくらいできたかをチャット機能で教員と生徒がやり取りしたり、復習問題の解答を全員で共有して、考え方を確認し合ったりした。

ICTを使った分散登校の授業を初めて受けた生徒は「休校中は勉強で分からないことがあってもなかなか聞けなかったが、オンラインを通じて先生に聞けるので便利になった。みんなと同じことを一緒にやっているので安心できる」と感想を話した。同校の分散登校では、9年生はクラスごとに、それ以外の学年は子供の住んでいる地域によって登校日を分けており、このクラスは全員が25日、自宅からオンラインで授業を受けた。

問題の解答を共有し、確認する生徒

公開授業後、記者会見した五十嵐立青市長は、ICTを駆使したシームレスな教育を実現することにより、再び休校になっても子供たちの学びを止めることなく、つながりを保ち続けることができると説明。「Withコロナの教育の形を本質的に問い直すことをつくば市ではしていきたい。本当の意味で誰一人取り残さない教育を実現していく」と強調した。

今回の実証について森田充教育長は「家庭にいても音声でリアルタイムなやり取りができるし、子供が書いたものを共有し、みんなで議論することもできる。主体的な学びだけでなく協働的な学びができるシステムになっている」と胸を張る。

つくば市では、家庭のWi-Fi環境の調査を進め、貸し出し用の端末700台を確保し、みどりの学園での成果を踏まえ、今年度中には全市立学校で、どの家庭からもオンライン授業を受けられる体制を整える方針。

毛利校長によると、休校中、同校では授業動画の配信などに取り組み、アクセス数も1日に1万5000件を超える日があるなど、子供たちの間でオンライン学習が急速に定着しているという。毛利校長は「学校も家庭もシームレスにつながり、登校できない子供も授業を受けることができる。教員もオンラインへの対応で、例えば、採点がすぐできることに気付くなど、普段の授業でも生かせる工夫が見つかっている」と話した。

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