【コロナと学校】休校中も保護者に発信 edumapを活用

【コロナと学校】休校中も保護者に発信 edumapを活用
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 休校期間中、保護者との情報共有に苦労した学校は多い。国立情報学研究所の新井紀子教授が所長を務める「教育のための科学研究所」が教育機関向けに無償提供している「edumap(エデュマップ)」を活用し、学校ホームページ(HP)で休校中も情報発信を積極的に行って、保護者の不安解消につなげた事例を取材した。

 edumapは、学校HPの運用に必要なサーバーやソフトウエアのインストール、メンテナンス、セキュリティー対策などを学校で行う必要がなく、校外からでも簡単にHPの情報を編集、更新できるクラウド型ホームページ運営サービス。大規模な災害が発生しても、学校HPを維持し、必要な情報を発信し続けることができる冗長性も担保している。

 また、edumapで作られたHPの情報はブラウザーで機械翻訳にかければ、どの言語にも変換できることから、日本語が読めない外国人の保護者でも必要な情報を得られるなどの利点もある。

edumapを利用した鴻巣中央小の学校HP
edumapを利用した鴻巣中央小の学校HP

 埼玉県鴻巣市では、昨年9月に一部の市立小中学校でedumapの実証運用を開始し、その成果を踏まえ、今年3月からは全市立小中学校のHPをedumapに切り替えた。同市教委の担当者は「高機能のウェブサイトが無償で利用できるというコスト面のメリットも大きかったが、将来的に周辺の教育機関と情報共有したり、学校の情報を集約化したりすることで、ポータルサイトのような使い方もできると考えた。edumapはこれからの学校HPのスタンダードになる可能性がある」と期待を寄せる。

 実証運用校の1つである市立鴻巣中央小学校(清水励校長、児童376人)では「学校でやっていることをどんどん発信していけば、学校に協力してくれる保護者も増える」との清水校長の考えの下、edumapへの切り替えを機に学校HPを活用した情報発信を強化。「学校ブログ」のコーナーに教員が各学年の日々の活動の様子を写真などで頻繁に紹介するなど、「誰に、何のために」見せるのかを意識している。その結果、以前は1日に20~30件程度だった学校HPへのアクセス数が大幅に増加し、1日に1000件を超える日も珍しくなくなった。

 3月に臨時休校に入ると、学校HPに新型コロナウイルスに関連する情報をまとめたメニューを新たに追加し、課題や教科書の配布についての案内や、教員が作成した授業動画の一覧などを次々発信。さらに、edumapのアンケート機能を活用して、週に1回、保護者に子供や家族の健康状態を回答してもらっている。その集計結果は学校HPで公表され、学校再開に向けた判断材料の1つになっているという。

 清水校長は「学校が再開したら、学校の様子を写真などでHPに発信していき、学校がどんな感染防止対策をしているか、保護者が一目で分かるようにしたり、アンケート機能を応用して、『目安箱』のように、保護者がちょっとしたことを学校に伝えたりできるようにしていきたい。このような状況だからこそ、学校と保護者で双方向のコミュニケーションを取れるようにすることが大切だ」と話す。

 新井教授は「これまで保護者への連絡はメールや学校だよりなどの配布物で済んでいたが、今回のようなイレギュラーな臨時休校で、メールアドレスが分からない新入生の保護者も含めたさまざまな関係者に、時々刻々変化する情報を混乱なく行き届かせるには、学校HPが最適だ。学校の様子や配布物がHPに出ていれば保護者は安心する。無償で利用でき、災害にも強いedumapならば、情報発信で困っている学校の力になれる」と強調した。

 edumapは1月27日からHP上で利用申し込みを開始している。学校などの教育機関であれば無償で利用できる。

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