【コロナと学校】中教審 積極的不登校の増加を議論

中教審初等中等教育分科会の「新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会」は5月26日、第8回会合をWEB会議で開き、新型コロナウイルスの感染拡大と休校長期化によって大きな打撃を受けた学校教育の現状と課題について議論した。席上、GIGAスクール構想の急速な進展を受け、学校現場が見据えるべきデジタルトランスフォーメーションを巡る課題と、教育現場のオンライン化に伴って学校に行かない選択を求める積極的不登校が増えてきた現状が報告され、委員らの熱のこもった議論が展開された。

報告は「新しい初等中等教育の在り方について」と題され、AI教材「キュビナ」を開発した神野元基・COMPASS社ファウンダーと、今村久美・認定NPO法人カタリバ代表理事の委員2人が共同で行った。政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が示した「新しい生活様式」を学校現場に当てはめ、「新しい教育様式」として今後の学校教育の方向性を提起した。

報告では、まず、感染拡大や臨時休校の状況下でも、家庭の経済的な状況や地域格差などに関わりなく保障すべき学校教育の変わらない本質として、▽学力保障(学習的機能)▽関係保障(社会的機能)▽健康保障(福祉的機能)――の3つを挙げた。これらの機能を保障するために「学校や教職員は必要不可欠」と指摘しつつ、「学校という場と教職員だけに閉じていては保障できない」と注意書きを付けた。

その上で、神野委員は「インフラ整備に終わらない『GIGAスクール構想』の推進」を強調。学校現場のデジタルトランスフォーメーションによって、「デジタルをちゃんと取り込んだ学校教育にしていく」ことを訴えた。

具体的には、インフラ整備とソフト整備の両翼が必要で、そのうちインフラ整備はGIGAスクール構想によって「この1-2カ月でほぼ全てができてきた」と指摘。「議論すべきはソフト整備だ」と述べ、必要な項目として▽都道府県教委へのCIO(情報専門家)派遣▽単位時間・授業時数の弾力化▽教員免許制度の見直し▽新しい教育様式の策定――を列挙した。

こうしたデジタルトランスフォーメーションの結果として、子供たちの学習ログが蓄積され、「学習ログによる学力テスト・試験の代替」や「学習環境の個別最適化」が可能と説明。「一発勝負の試験では不可能な学力の公正な判断や、さまざまな理由で学校に通えない子供も含め、誰一人取り残さずに健やかな学びを保障できる」と論じた。

続いて今村委員は、休校期間中にカタリバが取り組んだオンラインサービスに全国1800人の児童生徒が登録し、その84.6%が学校再開後もオンラインサービスの継続利用を希望しているとのアンケート調査を説明。学校再開が近づくとともに保護者からの相談が増え、「不登校の子供がオンラインで元気に学習していたのに、また学校に行くと思うと引きこもり気味になっている」などの訴えが相次いでいる状況を報告した。

今村委員は「オンライン学習によって、学校に行かなくても学ぶことができると経験した子供たちや保護者の中に、学校に行かない選択をする積極的不登校のケースが増える可能性が高い。学校とオンライン学習のハイブリッド型の学習環境を選ぶ家庭が増えていきそうだ」と指摘。同時に学校再開後も自宅学習を選ぶ不登校児童生徒の増加に備え、「文科省認定の『学びと心の緊急相談窓口(仮)』を開設し、個別的対応をきめ細かく行う必要があるのではないか」と提案した。

2人の報告について、出席した委員からは、肯定的な受け止めが多く出された。

特別部会の座長を務める荒瀬克己・関西国際大学学長補佐は「非常に根本的で、学校教育がどうあるべきかという大きなテーマの話だった。最近、Zoomで広範囲の高校生たちの学びの場に触れる機会があったが、学校に行く意味は何かを生徒自身が考えるようになっていると痛感した。今回の報告と通じると思う」と話した。

学校のICT環境整備に詳しい堀田龍也・東北大大学院情報科学研究科教授は「第2波、第3波の可能性や地域によって感染状況が違うことを考えると、これからの学校は、登校と同時にオンラインで学習保障をバックアップするハイブリッドな形で設計し直さなければならない。この報告は非常に重要な指摘。これからコンテンツの共有、学習ログの活用に進む。国として教育のデータ標準をどうするか、検討を急いで進めるべきだ」と述べた。

また、加治佐哲也・兵庫教育大学長は「新型コロナ感染症による長期休校で、積極的不登校が増えているエビデンスが示された。Society5.0ではそうなると言われていたことが、現実になってきた。学校に行くのか行かないのか、現実と法制度の乖離(かいり)がますます大きくなってくる。就学義務の議論を加速するべきだ。学校に通っていない子供たちへの資源の再配分も考えざるを得ない。もはや避けて通れないと報告を聞いて感じた。検討を急がなければならない」と力を込めた。

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