【コロナ時代の教育】再開後はオンラインとどう“共存”

休校期間中、各地の学校がZoomやYouTubeなどを活用したオンライン授業と、児童生徒とのコミュニケーションに乗り出した。この2カ月間のオンラインを活用した学びの在り方は、学校再開後はどのような形で生きていくのか。

動画教材は「児童にとっては、担任が授業をすることに意味がある」と話す鈴谷教諭(Zoomで撮影)

学校現場のICT活用についてブログにまとめるなど、オンラインに関する考察を重ねる埼玉県川越市立新宿(あらじゅく)小学校の鈴谷大輔教諭に聞いた。

Zoom機能駆使して朝の会

「授業動画もオンライン朝の会も、私たち学校の先生がするから意味があるのだと、やればやるほど感じるようになった」――。4月から進めるオンライン朝の会や、授業動画の作成などの活動について、鈴谷教諭はこう振り返る。

同小では4月初旬にオンライン朝の会を実現するため、Zoomの研修会を実施。使用経験が豊富な鈴谷教諭が、使い方を一つ一つ丁寧に説明した。Zoomを使ったことがない教員もいたが、児童たちと顔を見ながらコミュニケーションを取りたいと、全員が高いモチベーションで取り組んでいたという。

学校現場に合わせて、機能を有効的に使えるようアドバイスもした。例えば画面の表示方法。担任の話を集中して聞いてほしいときは、ホストのみが画面に映る「スピーカービュー」、参加者全員の顔を見ながらコミュニケーションをとりたいときは「ギャラリービュー」を使う。

「長引く休校でストレスやつまらなさを感じていた児童たちは、とても楽しみにしてくれている。私を含めた教員たちも、子供たちの顔を見られることは何よりのモチベーションアップになる」と、オンライン朝の会の効果を話す。

鈴谷教諭のクラスは毎日午前9時から、30分ほど実施。鈴谷教諭と児童らが雑談したり、参加者を個別ルームに分けられる「ブレイクアウトルーム機能」を活用してグループでコミュニケーションをとったり、リアルの教室さながらの交流をオンライン上で繰り広げている。最後にクイズを出して、じゃんけんをして別れるのが日課だ。

授業動画、担任だからこその意味

オンライン朝の会と並行して始めたのが、授業動画の作成。学年単位で1日2本ほどのペースで、マイクロソフトが運営する「Teams」にアップして、児童や他の教員らと共有する。

「最初は授業動画の作成には、消極的だった」と明かす鈴谷教諭。企業などが作る質の高い動画教材がすでにある中で、同じようなものを学校現場が作っても、もったいないと考えていたからだ。

しかし、実際に作成してみると考えが変わった。「授業動画は長くとも10分以内に収めるようにしている。そうすると普段の授業より情報をそぎ落とす必要があり、授業動画を作る過程はまさに教材研究そのものだった」と話す。

その「情報をそぎ落とす」ことが、何より難しかったという。通常の授業では、教師がポイントとなる箇所を何度も繰り返し言葉にして、児童に印象付けていく。しかし動画授業で求められるのは、正反対の行為だ。教材研究を重ね、伝えたいことがどんどん増えていく一方で、「一番伝えなくてはいけないものは何か」という視点を常に持ち続ける必要がある。

既存の動画教材との差別化については、どのように考えているのだろうか。

鈴谷教諭は「児童にとっては、“担任の先生”が授業をすることに意味がある」と分析する。

「伝わることは授業の内容だけではないはず。担任など教員の口癖や動作、表情を画面越しに見て、児童たちは再開後の学校生活や、新しいクラスに対しての期待に胸を膨らませているようだ。少なからず、児童たちとのつながりが生まれている」と話す。

再開後もオンラインと“共存”するには

しかし、ここまでオンラインを駆使した学級運営を続けていても、常に気掛かりなことがあるという。ネット環境やデバイスを持たず、これらのオンライン活動に参加できない児童たちのことだ。

同小でも現状は、全児童の5%ほどが参加できていない。実は鈴谷教諭はそうした児童らに、個人的にポケットWi-Fiを貸し出すなど、個人レベルでできるフォローをしてきた。しかし、これは本来の教師の役割ではないし、限界がある。「児童全員に提供できていないというのが一番の課題だ」と話す。

このオンラインを軸にした学びの在り方は、学校再開後も活用されていくだろうか。

鈴谷教諭は「例えばZoomを使ってグループで宿題に取り組むのも、面白そうだと考えている。ただ現状は、一部の児童が取り組めていない。これは本当に大きい。再開後もセーフティーネット的なものとして、オンラインを軸にした学びの形式は残り続けるかもしれないが、共存のさせ方について、まだまだ考えることはたくさんありそう」と課題を指摘し、「小学校では今年度から新たな学習指導要領が導入され、学校現場はマインドの変化が求められている。子供たちに求められている『変化の激しい時代を生き抜く力』が、早速試されている。学校現場も変わらなければいけないと、より強く、自分事として考えられるきっかけになったはず」と語る。

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