【コロナ時代の教育】休校中も生徒ら支援 学校図書館

新型コロナウイルスの影響による臨時休校で、多くの学校図書館も休館を余儀なくされた。そうした中、休校期間中も貸し出し対応や郵送による図書貸し出しサービスを実施したり、電子図書館サービスと連携して電子書籍を提供したりするなど、さまざまな工夫で、読書活動や学習を支援し続けた学校図書館がある。

オンラインでビブリオバトル

南多摩中等教育学校は、自宅にいる生徒と図書館をオンラインでつないでビブリオバトルに挑戦した

「この本を読んで、自分自身の成長が世界を変えることなんだと思いました」――。パソコンの画面の向こう側から、お薦め本の魅力を語る生徒の声が響く。都立南多摩中等教育学校(永森比人美校長、生徒922人)では5月21日、生徒がオンラインでお薦めの本をプレゼンテーションする「ビブリオバトル」に挑戦した。

ビブリオバトルとは、自分で選んだ本を5分間で紹介し、参加者による投票でチャンプ本を決めるという書評ゲーム。「Zoom」を利用し、臨時休校中の生徒らと学校図書館をつないで行われた。

同校図書館司書の杉山和芳さんは開催のきっかけを、「臨時休校が始まり、家庭学習支援のためのリンク集などを必死で作成していたところ、校長から『ビブリオバトルをオンラインでできないか』と提案され、すぐに企画を進めた」と話す。

参加者の募集は、同校が導入しているオンライン学習サービス「スタディサプリ」や学校ホームページに掲載した「図書館だより」を通じて行い、当日は新1年生5人、上級生3人の計8人が参加した。新1年生と杉山さんが顔を合わせて交流するのは、このビブリオバトルが初めてだったという。

杉山さんは「もともと本好きというのもあるが、休校で不安な思いをしていたところに、学校から働き掛けがあったのがうれしかったのでは」と、新1年生が反応してくれたことを喜ぶ。

学校再開後は、以前のように「生徒の憩いの場」として、図書館で本を介したおしゃべりを楽しむことも難しくなる。しかし、杉山さんは学校図書館の役割を、「単に本を貸し出すだけではなく、本を通して子供たちの豊かな心を育む場であることは変わらない」と強調する。今後も、オンラインでのビブリオバトルや読書会を計画しており、「ICTも活用しながら、子供たちを支える場としての学校図書館の役割を果たしていきたい」と話す。

郵送で貸し出しサービスも

埼玉県立浦和第一女子高校(髙岡豊校長、生徒1087人)の学校司書、木下通子さんは「Google Classroom」内に開設された図書館ルームを通じて、本の紹介や情報検索の方法、各種データベースの使い方などを、メッセージとともに毎日配信。図書館ルームは全校生徒の3分の1に当たる約350人が登録している。

注力しているのは、官公庁のホームページや新聞社のデータベースなど、「根拠のある情報源」の紹介だ。木下さんは「ワイドショーでは、コメンテーターがそれぞれの立場から発言し、SNS上では、虚実が混在した情報が行き交っている。こんな時代だからこそ、自分自身で情報の軌跡を確認して情報にアクセスすることが大切になっている」と指摘する。

さらに、5月中旬には読書機会の保障のために本の郵送貸し出し(着払い)も行った。自宅にいる生徒は、図書館検索サービス「カーリル」が無償提供する学校向け蔵書検索サービスを活用して同校の蔵書(約5万5000冊)を検索し、借りたい図書をメールや電話で申し込む。これまで、生徒18人に92冊の本を貸し出した。

「英語の多読本や『司書のオススメセット』を希望する生徒など、さまざまだった。うれしかったのは、新1年生から『保健の課題に役立つ統計資料を探している』とレファレンスの質問があったこと」といい、学校再開後も、「大人になってからも大切な情報を、伝え続ける活動を続けていく」と思いを語った。

どんなときも読書・学習・情報センター

京都府立久美浜高校(横嶋裕子校長、生徒184人)では、臨時休校期間中も変則運用ながら休館せずに、図書の貸し出し・返却や、公立図書館と連携した資料取り寄せ対応を実施した。同校では教職員は3交代制で在宅勤務を行っていたが、司書の出勤日は学校ホームページに明示してレファレンスに対応するなど、柔軟に運用した。

同校はこれまでも、多様な企画展示や貸し出しに冊数制限を設けないなど、工夫を凝らして読書活動を支援してきた。同校司書の伊達深雪さんは「どんなときも学校図書館は『読書センター』であり、『学習・情報センター』としての機能も変わらない」と強調する。

学校再開後は、生徒がボードゲームなどを楽しんでいた対面席にビニールシートを敷いたり、消毒剤を常備したりするなど、感染防止策に最大限留意していくが、「図書館に求められるサービスにできる限り制限はしない」と話す。

「図書館は本があるだけで完成するわけではなく、時代に合わせて変化していくもの。例えば、これまでコストを理由に導入が遅れていた電子図書館サービスも、臨時休校をきっかけに多くの学校図書館での活用が進んだ。再開後は、これまでの機能にプラスしてオンラインも活用することで、より充実したサービスを提供したい」と伊達さん。さらに「生徒たちには、さまざまな情報手段を使いながら、疑問に思ったことをとことん調べ尽くし、発想に結び付けるスキルと関心を持って卒業してもらいたい」と語る。


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