【9月入学】実施見送りへ 自民WTが今・来年度「困難」

9月入学への移行について検討していた自民党のワーキングチーム(WT)は5月29日、東京・永田町の自民党本部で会合を開き、休校長期化に伴う児童生徒の「学びの保障」を考えることが重要であり、今年度や来年度の9月入学への移行は「困難」との認識で一致した。ただ、今後の教育改革における9月入学移行論の位置付けや、小学校段階からの9月入学への移行に伴う問題点を巡り、事務局が示した提言案に異論が出たため、週明け6月1日に会合を再度開いて提言の内容を協議する。政府は自民党の提言を尊重する姿勢をとっており、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休校長期化への対応策として急浮上した9月入学への移行論は、自民党WTが今年度や来年度の実施は困難との判断で一致したことで、見送りとなる方向がほぼ固まった。

ワーキングチームの座長として会合の冒頭にあいさつする柴山昌彦・衆院議員(前文科相)

会合では冒頭、座長を務める柴山昌彦衆院議員(前文科相)が提言案について、「いま学校の再開が遅れて困っている子供たちにどのような学びの保障をするか、それをしっかりと考えることが極めて重要だ。9月入学については、地方公共団体が指摘しているように、さまざまな準備が大変になる。その両者を分けて検討するべきだと提言している」と述べた。

終了後に記者ブリーフを行った柴山座長は「子供たちの『学びの保障』と9月入学の是非を整理して、両者と分けて検討すべきだということには、了解があった。また、9月入学については、今年度、来年度の実施は、制度的にも人的なリソースを考えても、困難だということで一致をみた」と、会合の内容を説明した。

9月入学への移行には、30本を超える本数の法改正が必要とされており、与党の支持がない限り、実現性は低い。このため、安倍晋三首相を始め政府は与党の意向を尊重する姿勢をとっている。自民党WTが今年度や来年度の実施は困難との判断で一致したことで、新型コロナウイルスの感染拡大による現在の局面では、9月入学への移行は実施見送りとなることがほぼ確定的となった

一方で、提言案への異論について、柴山座長は「提言では、9月入学については腰を落ち着けて議論をすることになるが、(出席した議員から)その意義や、これからの教育改革における位置付けについて、分かりづらいとの指摘があった。小学校の段階から9月入学制を仮に導入するとした場合、特に未就学児を持つ親には、学年の分断や一学年の人数が変わってくることで不安が生まれる。場合によっては、家族計画に予期せぬ変更が生じてしまうのではないかという点に、多くの議員が関心を持っている。そういうところへの検討も、提言に書いておく必要があるとの意見もあった」と述べた。

こうした状況を受けて、柴山座長は「きょうの段階で座長への一任を取り付けるよりも、文言を直した提言案をもう一回、平場の会合で関心のある議員にみてもらい、それから提言としてまとめる方がいいと判断した」と説明した。

9月入学に対する文科省の考え方について、萩生田光一文科相は5月29日の閣議後会見で、「文科省としては今回の9月入学の件は、子供たちの学びをきちんと保障していくために、何が最善かというところから検討しているものであり、その点は現在も全く変わりない。従って、今後の学校再開の中で、しっかりと授業や学校行事が実施できるということであれば、直ちに秋季入学の導入について結論付けるということはない」と述べ、児童生徒の学びの保障が確保できれば、9月入学の導入にはこだわらない姿勢を改めて示した。

その上で、「一方で、仮に新型コロナウイルス感染症の第2波などにより、再び全国的に学校の臨時休校が長期にわたるような状況が発生した場合には、子供たちの学びを保障するために、真に必要なことであれば、『9月入学』という言葉を使うかどうかはともかくとして、学びの時間を確保するためのさまざまな方策を選択肢に入れておく必要があると思っている」と続け、今後の感染状況や再度の休校など先行きが予測しきれない現状を踏まえ、万一に備えて入学や卒業の時期の変更も選択肢の一つとして引き続き検討していく考えを示した。

文科省は、来年秋からの導入を想定して、新小学1年生の対象範囲の区切り方について、「17カ月分の児童を一気に入学させ、1年で9月入学に移行する」第1案と、「来年から5年間にわたって毎年13カ月分の児童を入学させ、段階的に9月入学に移行する」第2案の2つの案をまとめ、5月19日に関係府省の次官級協議に提示している。政府は、6月上旬をめどに9月入学を巡る論点や課題を整理する方針。

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