【9月入学】「直近の導入は困難」と結論 自民WT提言

9月入学の導入について検討していた自民党秋季入学制度検討ワーキングチーム(WT)は6月1日、東京・永田町の自民党本部で会合を開き、「幅広い制度改革についての国民的合意やその実施に、一定の期間を要する」として、「今年度・来年度のような直近の導入は困難である」と結論付けた提言を採択した。その上で、政府に対し、9月入学の導入の可能性について、「総理の下の会議体」で各省庁を横断した検討を行うよう求めた。

会合の冒頭にあいさつする柴山昌彦・自民党ワーキングチーム座長(前文科相)と松本剛明・WT副座長(元外相=右)

取りまとめに当たった柴山昌彦WT座長(前文科相)らは6月2日午後、安倍晋三首相や萩生田光一文科相に順次面会し、提言を手渡す。政府は自民党WTの提言を尊重する姿勢をとっており、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う学校休校を契機に急浮上した9月入学への移行論は、自民党WTが「直近の導入は困難」と結論付けたことで、見送りが決定的となった。

提言では、9月入学のメリットについて▽日本の教育改革・社会変革の重要な好機となり得る▽国際化に寄与する――と指摘。制度導入の方式として、「大学のみの導入」や「全ての学校種での導入」など、さまざまなパターンが考えられると指摘した。

このうち、全ての学校種での導入については、5つの移行方式を挙げてそれぞれ課題を列記。具体的には▽A方式=学齢区分はそのまま。就学年齢を5カ月後ろ倒し。1年で移行▽B方式=学齢区分を9月スタートへ。就学年齢もそのまま。1年で移行▽C方式=学齢区分を9月スタートへ。就学年齢もそのまま。5年で移行▽D方式=プレスクール(小学校入学前の4~8月も小学校で過ごす)導入。学齢区分はそのまま。就学年齢はそのまま。義務教育期間の5カ月延長。1年で移行▽E方式=学齢区分はそのまま。就学年齢を7カ月前倒し。1年で移行――の5つの移行方式を挙げた。

その上で、9月入学に共通する課題として▽教育制度のみならず、会計年度や採用など多くの制度・慣行が変わることとなるため、社会全体に心理的・経済的負担をはじめ、さまざまな影響を与える▽現在の入学時期を約半年間遅らせるため、在校生は卒業が約半年遅れる。現在満6歳で小学校に入学する日本の子供は、5歳代で小学校に入学する国と比較して就業年齢が1年程度遅れることになり、本人の負担増と国際競争力の低下を招く▽移行期の未就学児について、待機児童の増加や学年分断の発生などの影響が生じる▽卒業時期の移行や人員が増加する学年への対応で、教員や保育士などの職員や教室などが不足する――といったデメリットを列記した。

こうしたメリットとデメリットについて検討を重ねた結果、提言は、9月入学について、「幅広い制度改革についての国民的合意やその実施に一定の期間を要することとなるため、今年度・来年度のような直近の導入は困難である」と結論を示した。

また、9月入学への移行論を巡る今後の議論について、提言では、自民党内で議論を継続するべきだとする一方、政府に対しては「幅広く秋季入学制度の導入の可能性を検討すべきである」と明記。「総理の下の会議体において、各省庁一体となって、専門家の意見や広く国民各界各層の声を丁寧に聴きつつ、検討すべきである」と結んだ。

柴山座長は会合終了後に記者会見し、提言の意義について、「休校の長期化によって遅れてしまった学びをどう回復するかという『学びの保障』と、社会的な制度やシステムとしての9月入学を分けて考えるべきだという方向付けを行ったことがワーキングチームの成果だ」と話した。9月入学を今後議論する「総理の下の会議体」については、「安倍首相が差配できる会議という意味ではない。多くの省庁にまたがる問題だから、政府全体でいろいろな意見を踏まえて検討する必要があるという意味だ」と説明した。

また、松本剛明WT副座長(元外相)は「そもそも『新型コロナウイルス感染症に乗じて、秋入学をやろうとした』というイメージが出てしまったこと自体が残念だった。提言では、子供たちの『学びの保障』をしっかりやり、秋入学についても別途きちんと議論するという考え方を打ち出した。時代が大きく変わっていく中で、教育について今打てる手は提言に書くことができた」と述べた。

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