【コロナと学校】感染防止「家庭の協力不可欠」 文科相

北九州市の小学校で、新型コロナウイルスに感染した児童が無症状のまま登校を続け、クラスターの発生につながった可能性が出ている事態を受け、萩生田光一文科相は6月2日の閣議後会見で「学校だけでは、児童生徒の体調を全て把握することが難しい。学校内での感染拡大を防ぐためには、各家庭の協力が不可欠」と述べた。また、文科省は6月1日にPTA関係者に宛てて、学校と家庭の連携を求める通知を出した。全国各地で長期休校していた学校が再開される中、感染防止に向けた家庭の協力がなければ、学校活動を守れないとの問題意識が急速に高まっている。

「感染リスクはゼロにはならない」と理解を求める萩生田文科相

新型コロナウイルスの感染拡大に見舞われている北九州市では、5月25日以降、小中学校各2校の計4校で児童生徒合わせて11人の感染が確認され、4校とも再び臨時休校となっている。感染した11人のうち8人が無症状で、残る3人は軽症だった。また、小倉北特別支援学校でも教員3人の感染が判明し、学校再開が延期されている。

市当局が問題視しているのは、小倉南区の守恒小で最初に感染が確認された女子児童が、一時は37度前後の発熱が続いていたものの、午前中のみの授業で学校が再開した5月25日には36度台に熱が下がったために登校し、検温によるチェックにも引っかからなかったことだ。守恒小では、同じクラスの児童4人も感染しており、市当局は女子児童が起点となって同校でクラスターが発生したとの認識を示している。

この女子児童は5月25日から4日間登校を継続。登校前に37度台の熱がある日もあったが、登校時には36度台で、やはり検温によるチェックに引っかからなかった。同じ時期に発熱した母親の感染が確認されたため、検査した結果、女子児童の感染が判明した。

葛原小の児童も無症状のまま、5月25日から4日間登校していた。家族の知人の感染が確認され、検査を受けて感染が判明している。

登校時の検温は、文科省が5月22日に出した衛生管理マニュアルで学校に義務付けている、基本的な感染症対策の一つ。北九州市でも学校は児童生徒に、体温や体調を記した健康チェックシートを提出させていた。それにも関わらず、児童生徒11人に感染が広がった同市のケースは、登校時の検温に引っかからず、感染した児童生徒が無症状のまま登校してしまった場合、学校内での感染拡大を防ぐのは非常に難しいという現実を浮き彫りにした形だ。

萩生田文科相は「ちょっと熱が高めでも、本人は元気で『学校に行きたい』と言うと、今までの風邪ならば、許容範囲だったのかもしれない。今回の新型コロナウイルスは未知のウイルスなので、慎重に対応してもらうことが極めて重要だ」と述べ、改めて家庭の協力を呼び掛けた。

これに先立ち、文科省は6月1日、日本PTA全国協議会をはじめPTA関係者に対し、政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が提言した「新しい生活様式」を踏まえ、家庭での感染防止の取り組みに協力を求める通知を出した。

通知では、「学校内での感染拡大を防ぐためには、何よりも外からウイルスを持ち込まないことが重要」とする衛生管理マニュアルの内容を引用し、「学校と家庭の連携が学校内での感染拡大防止のため必要である」と指摘。

家庭での取り組みを求める内容として、まず、家庭全体での「新しい生活様式」の実践を挙げた。「学校生活の中でいかに感染防止を徹底しても、仲の良い友人同士の家庭間の行き来や、家族ぐるみの交流を通じて感染が拡大してしまうと、学校全体の教育活動ができなくなってしまうこともある」として、会食の際には対面を避けるなどの配慮を求めた。

次に、学校での集団感染を防ぐために、児童生徒の登校を控えるべき場合があることに理解を求めた。具体的には▽毎日、登校前に子供たちの健康観察を行い、発熱など風邪症状の有無を確認する▽感染がまん延している地域では、学校からの依頼に基づき、同居する家族に発熱などの風邪症状が見られる場合にも、子供たちの登校を控える――ことを挙げた。

こうした家庭の協力があっても、学校内で新型コロナウイルスの感染拡大が起きる可能性は残る。

萩生田文科相は「このような取り組みを通じても、なお感染リスクをゼロにすることは困難である。このため、いかなる地域においても、感染者がいつ発生してもおかしくないという前提で、地方自治体内での衛生主管部局との連携や、学校医、学校薬剤師など専門家と連携し、学校における保健管理態勢を築いていくことが重要と考えている」と述べ、一定の感染リスクを受け入れた上で学びの保障を提供するという、withコロナの時代の学校運営に理解を求めた。

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