集められた寄付金をどの団体に寄付すべきかを子供たちが主体的に決めることで、問題解決や社会貢献の学びにつなげる「Learning by Givingプロジェクト」が6月1日から、クラウドファンディングによる寄付金募集を開始した。新型コロナウイルス対策で1人につき10万円が支給される特別定額給付金を寄付に回そうとする機運が高まる中、教育にも貢献できる新たな寄付の手法を日本でも展開する。

米国発祥の「Learning by Giving」は、集まった寄付金をどの団体に寄付すべきかの選択を、寄付した本人ではなく子供たちに託す仕組み。子供たちは寄付先を決める過程で、社会問題について理解を深め、寄付先の団体の活動内容をよく調べて、社会貢献の意識や自己肯定感を高める。
その日本版である同プロジェクトは、コロナ危機をきっかけに、寄付によって社会を変える活動に子供たちが参画できる機会を提供しようと、日本ファンドレイジング協会が中心となって発足。6月1日から7月31日まで、1000万円を目標にプロジェクトの原資となる寄付を募る。
その後、プロジェクトへの参加を希望する学校や希望者を募り、実際に子供たちが寄付先を考える活動に取り組む。同協会では7月以降に「社会貢献教育ポータルサイト」を立ち上げ、実践校での事例などを紹介する予定。
6月1日にWEB会議形式で開かれた記者会見で、鵜尾雅隆・同協会代表理事は「子供たちが学んで実際に寄付が行われるときに、寄付先の団体は寄付者のそもそもの思いに加えて、子供たちからも思いを受け取る。つまりダブルで思いを受け取って活動するので、やる気になる。一つのお金が、お金としての意味を生むだけでなく、いろんな人の思いが連鎖して複合的な価値を生む」と説明。
プロジェクトの共同発起人の一人で、ジャーナリストの堀潤・8bitNews代表理事も「自分で価値を見いだして、自分が取るべき行動は何なのかを、一人よがりではなく、他者にはどんな価値があるのかを想像しながら、自分の軸を決める。そういうことができるようになるには、子供のころの体験や経験、さまざまな価値に触れ合う機会が必要だと思う。大人たちが不安を感じている今だからこそ、子供たちにしっかり未来を伝える活動が求められている」と意義を強調した。
同プロジェクトへの寄付は、クラウドファンディングサイト「READYFOR」の専用ページから行うことができる。
次のニュースを読む >
関連
- 高校生が模擬裁判選手権 論理的思考力や分析力を競う
- グローバルティーチャー 高橋一也【後編】 社会貢献の思い育てよう
- 【各国の消費者教育】高校生が経営するフェアトレード会社
- 渋谷区で教育クーポン提供 貧困世帯の中学3年生に
- SDGsを取り入れた教育の可能性 教材完成記念で実践報告