「履修主義」は見直しを 中教審で高校教育について議論

新型コロナウイルスの感染拡大により、多くの高校で休校が長期化し、在宅学習を余儀なくされた生徒たちにオンライン授業の必要性が高まった現状を踏まえ、中教審初等中等教育分科会の「新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループ」の第8回会合が6月2日、WEB形式で開かれた。遠隔授業の取り組み方や、新学習指導要領を見据えた高校教育について議論し、委員から大学受験や就職を意識した「履修主義」にとらわれない教育を求める意見が相次いだ。

遠隔授業の現状について、文科省は高知県と北海道の先進的な取り組みを紹介した。

高知県では中山間地域にある高校の教育を充実させようと、遠隔授業配信センターを設置し、担当職員を置いて配信拠点としている。この遠隔教育システムを活用して、小規模校では対応が困難な科目の授業や補習を各校に配信し、教育課程に位置付けられた授業として単位を認定して、「学びの保障」につなげている。

北海道では2021年度をめどに遠隔授業配信センターを設置し、小規模校や離島の高校に同時双方向型の遠隔授業を実施する計画を進めている。指導力の高い専任教員が遠隔授業を行い、複数の道立高校に同時配信する。

こうした取り組みに、香山真一委員(岡山県青少年教育センター閑谷学校所長)は「オンライン授業の効果が全国的に認知されている」と評価した上で、「それぞれの学校の特徴を生かした取り組みが、学校長の裁量で実施できればいい」と、柔軟な運用に期待を寄せた。

佐藤成美委員は自身が校長を務める埼玉県立戸田翔陽高で、5月の連休明けから何回か、双方向通信による授業を行ったことを紹介し、「生徒たちが画面の向こうで伸び伸びと、楽しんで教員と授業をつくっていた。大人数の教室では小さくなっていた生徒も積極的に発言していた」と、効果が大きかったことを説明した。

続いて、新型コロナウイルス感染症が終息した後に求められる高校教育について、意見を交換した。過去の論議を踏まえた論点整理として、文科省は▽大学進学や就職など「出口」のみを目標とした学習ではなく、卒業後に大学で学びを深めたり、実社会でさまざまな課題に接したりする際に必要となる力をつけるための学習が、高校3年間を通じて行われなければならない▽2022年度から新しい学習指導要領が実施されることを見据えて、早急に取り組まなければならない▽新型コロナウイルス感染症の第2波、第3波が到来する可能性にも備えて、ICTなども活用して生徒の学びを十分に保障する環境整備を急ぐことが必要▽対面指導かICTかという二元論に陥ることなく、教室での対面指導が効果的なもの、地域社会での学びが効果的なもの、ICTを活用した学習が効果的なものを見極め、その最適な組み合わせを探ることが重要――と課題を挙げた。

これに対し、内堀繁利委員(長野県教育委員会事務局高校改革推進役)は「画一的な人間を育てていくシステムではなく、高校生一人一人の力を最大限伸ばしていく学びが大切。コロナウイルス感染拡大の影響にも対応できるよう、柔軟性を持って学習指導要領をつくるべきだ」と提言した。

長塚篤夫委員(日本私立中学高等学校連合会常任理事)は「履修主義にとらわれず、どのような力が身に付いたか、しっかりと測ることが大事」と指摘した。

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