「講師からコーチへ」 Withコロナの学びを討論

経産省などが主催のオンラインイベント「未来の教室オンラインキャラバンキックオフDay」が6月5日に開かれ、「Withコロナ」の時代に求められる学びのスタイルについて討論した。パネルディスカッションでは、新型コロナウイルスによる休校を契機にICT化を進め、オンライン授業などに対応した奈良県と奈良市の連携や、熊本市の取り組みが報告された。

先進自治体の事例を踏まえ、これからの学びを議論したオンラインパネルディスカッション

同イベントは当初、各地で「未来の教室」実証事業の成果を各地で体験してもらい、EdTechによる教育改革を全国に普及させることを目指していたが、新型コロナウイルスの影響でオンラインでの開催に切り替えた。

「未来の教室」実証事業を担当している経産省の浅野大介サービス政策課長・教育産業室長はイベントの冒頭で、全国一斉に休校となった直後に同省が立ち上げた「『学びを止めない未来の教室』プロジェクト」に賛同した75社のEdTech企業がサービスを無料で提供した動きや、教育委員会、学校などが同プロジェクトのWEBサイトを家庭や子供に紹介した事例が多数あったことを紹介。

「分散登校とGIGAスクール構想の前倒しが、これからいかに衝撃を与えるか。分散登校は待ちに待った10人、20人学級が出現するということだ。半日は1人1台端末で、居場所を選ばない学びをやらなければいけない状態になる。教師は講師からコーチの役割に自分の振る舞いを変えていくチャンスにもなる。1人1人の学びの到達度がより意識されないと、学びの保障はできない。この制約下でこそ、学びのイノベーションは生まれるのではないか」と強調した。

パネルディスカッションでは、奈良県と奈良市、熊本市のオンライン授業の取り組み成果が報告された。

休校前の段階で学校の学習者用端末の配備率が全国平均とほぼ変わらない状態だった奈良市では、休校長期化を踏まえ、ネット環境が十分でない家庭に、学校の端末や市が確保したWi-Fiルーターを貸し出し、Googleの「G Suite for Education」を活用したオンライン授業の環境整備を急いだ。この動きに奈良県も呼応し、県内の教員、児童生徒分のグーグルアカウントを用意。県内の全ての小中高などでグーグルが提供するサービスが利用できるようにした。

小崎誠二・奈良県立教育研究所主幹は「アカウントが子供に配られたのを受けて、SNSなどを通じて地域で保護者らが使い方を学ぼうとする勉強会が開かれるなど、県全体で動きが出ている。奈良県では高校入試の出題範囲について、教員だけでなく子供の意見も聞こうとアンケートを行った。これも、子供1人1人にアカウントが行き届かなければできないことだった」と変化への手応えを語った。

熊本市は、休校中にオンライン授業を実施するために、調査を踏まえてネット環境が十分でない家庭にタブレット端末を貸し出したり、学校現場には、できることから始められるようにスモールステップの取り組みを促したりした。

遠藤洋路教育長は「オンライン授業には不登校の子供も参加できる。実際に日ごろ不登校だった子供もオンライン授業にはかなり参加していて、学校再開後もそうした子供が学校に来るようになっている」と想定以上の成果があったと指摘。学校とオンラインの学びのハイブリッドが進めば、欠席や不登校の概念自体が変わると強調した。

次のニュースを読む >

関連