爆破予告への対応 学校安全の専門家はどう見る

「大阪教育大学附属池田小学校殺傷事件」から19年となった6月8日に、東京都渋谷区と世田谷区の学校がターゲットにされた爆破予告事件。学校安全の専門家は、こうした愉快犯の可能性が高いケースでも、学校がマニュアルに沿った避難指示や防犯対策を徹底することが、児童生徒と保護者の安心につながると強調する。

爆破予告への対処が盛り込まれた「学校の危機管理マニュアル作成の手引」

学校を狙った爆破予告への対応は、文科省が2018年に改訂した「学校の危機管理マニュアル作成の手引」に追加され、学校が対策を想定しておかなければならない新しい危機の1つに挙げられている。同手引では、「学校を爆破する」といった犯罪予告があった場合、警察の指示の下で教育委員会と連携し、子供を不安にさせない配慮をしつつ、最悪の事態を想定し、安全を最優先にした対応を取るよう求めている。

今回のケースでは、各校は予告された爆破時刻の前後に子供たちを避難させた。こうした万が一を想定した対応について、防犯教育が専門の木宮敬信常葉大学教授は「脅しや愉快犯の可能性が高くても、学校は実際に仕掛けられていると想定して対処することが求められる。しっかりとした対応を取り続けることで、保護者にも安心感が生まれる」と話す。

さらに今回のケースを教訓に、危機管理マニュアルに沿った判断と行動ができるかを各校で見直すべきだと提案。「爆破予告のような事態に、学校が『想定できなかった』というのは言い訳にならない。学校に注目が集まっている今だからこそ、学校を犯罪のターゲットにしてアピールしようとする意識が働きやすい。登下校中の子供を狙った犯罪や犯罪予告が起こることも考えられ、学校で対処を考えておく必要がある」と注意を呼び掛ける。

「日本こどもの安全教育総合研究所」の宮田美恵子理事長も「うそかもしれなくてもルールに従って対応する。この原則を揺るがしてはいけない。大人が動揺してしまうと子供にも伝わる。何が起きても子供を守るという姿勢と言葉掛けを、大人がしっかり示すことが必要だ」と強調する。

宮田理事長は新型コロナウイルスによる不安やストレスの矛先が社会的弱者に向かうことを懸念し、学校や子供が狙われる危険性に目を向ける必要があると指摘。

「危機管理は予防が重要。学校がウィークポイントであることは明白だ。何か起きてから警察が対応するのではなく、あらかじめ学校と警察が連携し、警察官の存在を外にアピールすれば、『うかつなことはできない』と犯行を思いとどまらせることができる。さらに、メールを使った今回のような手口では、ネット空間は完全な匿名ではなく、警察が捜査すれば個人の特定も可能なことを周知することによって抑止につながる」と提案する。

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