【コロナと学校】オンライン校内研修で若手を育成

3カ月間にもわたった休校期間で、多くの教員が在宅勤務を経験した。教員間のコミュニケーションもなかなか取れず、特に若手教員はコロナ禍において大きな不安を抱えていたと予想される。そうした状況で、東京都大田区立松仙小学校では、5月から若手教員のオンライン研修を開始。これまでに4回行われたオンライン研修について、会を立ち上げた同校の松村英治主任教諭や参加した若手教員らに話を聞いた。

2年前から始めた若手教員の研修

オンライン研修について話す松仙小学校の教員(ビデオ会議システムで取材)

同校では2018年度の12月から松村主任教諭らが中心となり、「わかめの会」という若手教員を中心とした校内研修をスタート。同校が1校目の教員を主な対象とし、月に1~2回、30分程度、自分たちの困り感からテーマを決め、先輩教員を招くなどして学び合っていた。

今年度も「わかめの会」を継続予定だったが、コロナ禍で休校が続き、同校では職員を5チームに分けて分散勤務をしていたため、実施できていなかった。

松村主任教諭は「今回の休校や在宅勤務は、9年目の私でも戸惑いが大きかった。特に1年目の教員は、教員になった途端に在宅勤務になった。教員同士のつながりもない中、在宅で何をすればいいのか困っているのではないかと思い、5月頭に校長にオンラインでの若手教員研修について打診した」と経緯を話す。

実際に、同校に赴任したばかりの教員1年目の高田ありさ教諭は「分散勤務のため、同じ学年を受け持つ先生にも会えない状況だった。何を相談すればいいのかさえ分からない状態だったので、オンラインでつながれるのはとてもありがたかった」と振り返る。

Microsoft Teamsを活用したオンライン研修

同校では、オンライン研修にMicrosoft Teamsを活用。安全性が高く、オンライン会議以外にも、例えば教職員でファイル共有ができるなどのメリットを感じ、導入を決めたという。今後は、各家庭にライセンスを発行してクラスルームを作り、オンラインで課題を提出するなどにも活用したい考えだ。

準備は急ピッチで進み、5月11日には1回目の若手教員のオンライン研修が行われた。1回目と2回目は松村主任教諭と今年度から研究主任となった教員7年目の石川琳太郎教諭が中心となり、在宅勤務のポイントについて話し合った。

その後は、若手教員からテーマ提案も運営もやりたいと声が上がり、3回目は「学級開き」について、4回目は「授業開き」についてのアイデアを出し合い、協議したという。

オンライン研修の良かった点について、4年目の菊地礼華教諭は「一人ずつ発表し、提案する時間が持てたことが良かった。みんな本当に熱心で、ほとんどの教員が自分の考えをまとめたスライドを作って画面共有し、学び合えた」と話し、回を重ねるごとに参加者の自主性が高まっていった。

例えば、3回目のテーマ「学級開き」では、自己紹介のアイデアを出し合った。2年目の余保賢一教諭は「休校が長引いていたので、子供のメンタル面に心配があった。子供たちは久々に友達に会うことになるので、お互いをよく知れるような、つながり合えるような自己紹介ができれば、いいスタートが切れるのではという話をした」と振り返る。

若手教員のまとめ役である石川教諭も「本当に学校は再開するのか、いざ始まったときにどう始めればいいのか、自分自身も不安だった。この会で自分の思ったことや感じていることをアウトプットすることで、不安を解消できたし、みんなの意見を聞いて刺激にもなった」と話した。

各回共に1時間程度、10~15人の教員が参加。若手だけでなく、さまざまな教員が参加していたという。「子育て中の教員も自宅から参加できるなど、いい意味で参加のハードルが下がった。在宅勤務が続く中で、人とつながりたいという思いをみんな持っていたのではないか」と松村主任教諭は分析した。

オンラインでも同僚性は高められる

今回のオンライン研修は、学校再開後にどのように生かされていくのだろうか。菊地教諭は「今後、また休校や分散勤務になった時にも、こういうシステムが生きてくると思う。いい経験になった」と強調する。

今年度中には大田区でもタブレット端末の1人1台環境が整う予定で、松村主任教諭は「今回、オンラインで研修をやれたことは大きい。今後は先を見据えた研修にも取り組んでいけるのではないかと手応えを感じている」と期待を込める。

また、高田教諭は「オンライン学習が進めば、不登校や登校しぶりの子供たちの学びの選択肢が増えるかもしれない。積極的に勉強していきたい」と力強く話す。

教室での授業についても気付きがあったという石川教諭は「今後、確実にオンライン化は進んでいく。普段の授業から電子黒板やタブレットなど、もっと積極的にICTを取り入れ、活用していくべきだと感じた。いろいろな方法を試していきたい」と展望を語った。

「オンライン研修によって、離れていても画面上で話し合ったり、高め合ったりできることが分かった」(余保教諭)と、成長を感じている教員は多い。

松村主任教諭も「オンライン研修はまだ4回しかやっていないが、みんな確実に力がついたと感じている。一人一人の考えをしっかり聞く機会が持てたことで、お互いの理解が深まり、同僚性を高める意味でも学校全体として底上げ出来たのでは」と強調した。

今後について石川教諭は「6月1日から分散登校が始まったため、今はいったん、オンライン研修をストップしている。状況が落ち着いてきたら、『こんなことを話し合いたい』と若手から出てきたテーマを中心に、どんな形であれ若手教員の研修を続けていきたい」と話した。

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