SNSの誹謗中傷と表現規制 高校生が国語でディベート

テレビ番組の出演者がSNSで誹謗(ひぼう)中傷を受けて自殺した問題を基に、高校生が表現規制の是非をディベートする授業が6月8日、東京都東久留米市の自由学園男子部(更科幸一部長、生徒216人)で行われた。生徒らは賛成と反対のそれぞれの立場から、問題に対して自分自身の考えを深めていった。

オンライン上でディベートを行う生徒の議論に耳を傾ける高野教諭

授業は高等部2年生の国語で行われた。同校では半数以上の生徒が寮で生活していることから、1学期中は新型コロナウイルス感染防止のため寮を閉鎖し、生徒は自宅からオンライン授業を受けている。そのため、この日も授業者の高野慎太郎教諭が、学校から「Zoom」などで生徒の自宅を結んで授業した。

生徒には高野教諭から「誹謗中傷を防ぐために、表現の事前規制をすべきか」というテーマがあらかじめ与えられた。グループになった生徒らは、ディベートの前に「賛成」「反対」「ファシリテーター」の3つの役割に分かれ、主張となる論理を立てて、その根拠となる情報を収集。ディベート本番では、「事前規制をすれば被害者を出さずに済むし、誹謗中傷の数も少なくなるはずだ」(賛成)、「憲法では表現の自由が保障されている。事前規制をすることで言論統制につながる恐れがある」(反対)といった意見を示し、交互に質問や反論を行った。

高野教諭は学校のPCからオンライン上の各グループに出入りし、生徒らの議論に耳を傾け、うまくディベートに参加できていない生徒をフォローした。

最後に、反論に対して再度、主張を補強して相手を説得する「最終弁論」を行い、ファシリテーター役の生徒が賛成と反対のどちらの意見に説得力があったかを判定。その理由を説明してフィードバックした。

生徒らは「根拠が1つしかなく、調べる作業が不足していた」「相手の視点で考えることができた」「もっと議論がしたかった」と感想を言い合った。

授業後、高野教諭は「次回は役割を変えて、同じテーマでもう一度ディベートをする。賛成の立場、反対の立場になりきって考えてみることで、個人の意見や考え方の変容を見てみたい」と狙いを説明。これまでも国語の授業の中で、LGBTや大学入試改革など、社会的な問題を取り上げて討論する実践をしてきたといい、「SNSでの誹謗中傷は、まさに言語的事象として国語で扱わなければならないと感じた。生徒もこの問題にとても関心を寄せていた。どうして社会ではこのような対立が起こってしまうのか、生徒が自分の考えを深め、アクションしていくことが大切だ」と話した。

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