教員免許を国家資格に 更新講習も1回のみ、文科相表明

教員志望者の減少を背景に、教員の職業上の魅力を高める必要があるとして、萩生田光一文科相は6月8日の講演で、「学校の先生こそ、本当は国家資格の方がいいのではないか」と述べ、教員免許を国家資格に変更し、現在の都道府県ではなく、国が教員免許を交付すべきだとの考えを明らかにした。また、教員免許の更新講習に「ものすごく負担がかかっているのではないか」として、教員免許を取得して10年後に講習を受けて免許を更新すれば、20年後と30年後には更新講習を受けなくて済むようにすべきだとの考えを示した。

講演で、教員制度の見直しに意欲を示す萩生田文科相

こうした見解について、萩生田文科相は6月9日の閣議後会見でも「これからの教師像をしっかり見極めていきたい。そんな思いで発言した」と述べ、今後の教員の働き方改革に合わせ、教員制度の見直しに取り組む意欲を表明した発言だったことを説明した。

講演は6月8日夜、内外情勢調査会の全国懇談会として都内のホテルで行われ、WEB経由で会員が視聴した。教員の給与体系について、萩生田文科相は「教員は、あらかじめ年間4%の調整額を上乗せした地方公務員。一般の公務員は昇級試験などで給料が上がり、残業手当や休日手当も付くが、先生たちはそれがない」と、給特法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)による規定を説明。

新型コロナウイルス感染症による長期休校を経て再開した学校では、「土曜日に授業をやっても、休日手当が出るわけでもない。子供たちの学びのために、夕方暗くなるまで補習をやってくれる先生がいても、残業手当がない。教員は大変な仕事だということが、今回すごくクローズアップされている」と続けた。

さらに、教員志望者の減少について、「学校の先生は、その人との出会いが子供たちの人生を変えるような、大切なかけがえない仕事。しかし、すごく大変な仕事だということばかりが先行してしまい、志願者がいまどんどん減っている。このまま志願者が減ることがないように、学校の先生の働き方を変えていきたい」と強調。「コロナ後のふんばりを全国の先生が見せてくれることがすごく大事だ。その上で、給与体系を含めた仕組みを変えていかなければいけないのではないか」と述べ、教員制度を見直す必要があるとの認識を示した。

質疑応答では、教員の人材確保について聞かれ、「教員という職業が、若い人たちにとって魅力的な職業であり続けることがすごく大事。そのためには、やりがいを感じられる環境を作っていくことが必要だ」と答えた。その上で、「文科省としてオーソライズ(公認)しているわけではなくて、私個人の私見」として、「小中学校の設置者は市町村。しかし学校教員は政令指定都市以外では都道府県の職員で、国が3分の1の人件費を持つ。誰が責任者なのか、すごくあいまい。私は学校の先生こそ、本当は国家資格の方がいいのではないか、国の免許の方がいいのではないかと、ずっと思っている」と述べた。

教員免許を国家資格にするメリットについては、「例えば、結婚して居住地が変わったとしても、子育てが一段落したら、また教員として働けるようにしたい。いまは都道府県単位の免許になっているので、前の県では先生をやっていたけれども、いま住んでいるところでは(免許の)取り直しをしないと先生ができないという不具合もある。1回免許を取れば、ずっと生涯使えるような仕組みを作ればどうか、というイメージを持っている」と説明。「これが教員のプライドにつながるのだったら、ぜひチャレンジをしてみたい」と意気込みを見せた。

また、教員免許の更新講習にも触れ、「いまは10年に1回更新している。更新時の講習は極めて大事だが、この講習にものすごく負担がかかっているのではないか、との思いがある」と更新制度の見直しに言及。「教員になって1回は、自分がこの仕事に向いているかどうか立ち止まって考えてみる必要があるのかもしれない。外からの評価にさらしてみる必要もあると思う。けれども、その道で10年を超えたら、20年行ってもらわないと。20年超えたら30年やって、しっかり管理職を目指してもらわないといけない」と述べ、教員免許を取得して10年後に講習を受けて免許を更新すれば、20年後と30年後には更新講習を受けなくて済むようにする改革案を示した。

萩生田文科相は講演の席上、一連の見解について「この辺は予告編。こういった制度にも、ぜひ深く思いを巡らせてみたい」と説明し、教員制度の見直しに意欲を見せた。

閣議後会見で質疑に応じる萩生田文科相

一方、6月9日の閣議後会見では、萩生田文科相は教員の給与体系の見直しについて、「現在の給特法の仕組みは、教師はどこまでが職務であるのか切り分けがたいということを踏まえたもの。一方、給特法の制定から半世紀を経た現在、保護者や地域の意識が変化する中で、業務が大きく積み上がっている。労働法制も大きく転換しているが、見直しにあたっては確かなデータと国民的な議論が必要」と続け、昨年の給特法改正の際に打ち出した通り、教師の勤務実態状況調査を2022年度に実施し、法改正を含めて検討していくという従来の見解を改めて示した。

教員制度見直しを巡る前夜の発言については、「昨年に働き方改革の法律を作り、学校の先生の超過勤務を改めて、ちゃんとした時間管理をしましょうと言った翌年に、(新型コロナで)そんなことを言っていられない状況になってしまった。現場の先生には本当にねじり鉢巻きで頑張ってもらっている。夏休みを短縮したり、土曜日に隔週で授業を行ったりしても、先生に手当が出るわけではない。こういう実態を国民に知ってもらい、これからの教員の働き方、教師像をしっかり見極めていきたい。そんな思いで発言した」と説明した。

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