大学入試「『日程も中身も変わらない』は非情」 文科相

新型コロナウイルスの影響による大学入試について、萩生田光一文科相は6月16日の閣議後会見で、「今年の受験は本当に特殊な事情で、受験生には時間的にも心理的にもさまざまな負担が生じている。こういう事態の中、日程的にも中身も変わらないまま、『同じ条件だから受験せよ』というのは非情ではないか」と指摘。大学入学共通テストや各大学の個別入試では「追試験の実施や選択問題の設定を確実に行ってもらうことが重要と考えている」と述べ、6月中に公表する大学入学者選抜実施要項で、国公私立全ての大学に追試験や、解答する問題を受験者が選べる選択問題の設定を求める考えを表明した。

大学入試について検討状況を説明する萩生田光一文科相

萩生田文科相は、全国高等学校長協会(全高長)が、11日に全国の高校を対象にしたアンケートで7割が「当初予定通り実施すべき」とする結果が出たにもかかわらず、13日の会議で1カ月程度遅らせるよう求める要望を決定したことについて、「私は元々、(大学入試は)一定程度、後にずらした方がいいのではないかという私見を持っていた。(アンケートの結果に)いったんは納得したけれども、その後の会議でそういう意見になったことは、『わが意を得たり』という思いがある一方、『こんなにころころ変わられても困るな』という思いも抱いている」と、当惑を示した。

さらに、17日に高校大学関係者による2回目の「大学入学者選抜方法の改善に関する協議」が行われることを踏まえ、「仮に当初予定通りの日程で実施することになったとしても、追試験の実施や選択問題の設定を確実に行ってもらうことが重要と考えている」と述べ、大学入学共通テストや各大学の個別入試では、感染症に伴う予想外の事態や高校の授業の遅れなど受験生の事情に配慮して、追試験や選択問題を設定する必要があるとの考えを表明した。

その上で、受験生への配慮を巡る大学関係者の対応について、「新たな問題を作るのが大変だとか、採点が大変だとか、できない理由がいろいろ私のところに入ってくる。けれども、できないことをできるようにするのが学校の役目だ」と述べ、従来の日程や出題内容のまま今年度の大学入試を実施しようとする姿勢を強く批判。

「こういう環境の中で挑戦しようという受験生がいるのだから、大人の責任として、今年に限っては無理をしながら、できる限り平等で、納得のいくチャレンジができる環境作りに、国公私立を含めて協力してほしい」と述べ、大学関係者に追試験や選択問題の設定など受験生への配慮を繰り返し求めた。

全高長は11日に開かれた、1回目の「大学入学者選抜方法の改善に関する協議」で、文科省の依頼で全国の国公私立高校5276校を対象に行ったアンケートのうち4318校の回答を仮集計した結果を報告。

それによると、共通テストの日程については、①現時点では、当初予定通りの実施とすべき 30.0%②現時点では、当初予定通りの実施とし、予定通り実施できなかった場合の予備日の日程も明確にすべき 39.0%③現時点で2週間程度後ろ倒しすべき 18.6%④現時点で1カ月程度後ろ倒しすべき 10.2%――となり、予定通りの実施を求める意見が7割に上った。後ろ倒しを求める意見は3割にとどまったが、協議の席上、高校関係者から「校長の3割が『延期すべき』と答えているということは、何らかの事情で困っているのではないか」として予定通りの実施に疑問を投げ掛ける意見が出された。

こうした経緯を受け、13日にオンラインで開かれた都道府県高等学校長協会長研究協議会では、全高長会長の萩原聡・東京都立西高校長が1カ月程度の後ろ倒しを提案し、了承された。

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