塾もオンライン化に一苦労 コロナ対応を塾経営者が語る

このコロナ危機を、学習塾はどう乗り越えたのか――。超教育協会(会長・小宮山宏三菱総合研究所理事長)は6月17日、教育関係者らに新型コロナウイルスへの対応を聞くオンライン講演会を開き、九州地方などで学習塾の英進館を運営する筒井俊英・英進館社長が、授業のオンライン化に向けた対応などの苦労を語った。

オンラインへの対応について説明する筒井社長

筒井社長は「緊急事態宣言で4、5月に授業ができなかったのは、塾業界にとって大きなショックだった。子供たちの教育をストップさせられないとの思いは塾も学校と同じだが、学校と民間の塾が違うのは、塾は授業がないと生徒の退会につながることだ。全国の塾の経営者が倒産の危機にもがいた」と、コロナ危機に直面した塾業界の状況を説明。

同社は対面による通常授業ができない中で、4月に入ってすぐに授業動画配信に向け準備を始めた。ところが対面授業を重視する保護者から、動画配信への懸念が出たという。そこで同社は物量作戦で対応。対面授業の2倍に相当する本数の授業動画を一挙に撮影し、保護者の理解を得ることに成功した。短い間に膨大な動画を制作したためにトラブルやミスも相次いだが、時間や本数に制約のない動画配信だからこそ、対面授業よりも多くの問題を解説できるといった利点もあったという。

4月中旬からは「Zoom」を活用した同時双方向型の授業を徐々に増やし、各校舎のWi-Fi環境が整った5月の連休明けには、Zoomで画面共有をした状態で自習したり、模擬テストを自宅から受けたりする試みも広がり、オンラインを活用した学習が当たり前のものとして定着した。

筒井社長は「オンラインでも、対面で授業をしていたときと変わらない学力が身に付いている。最初はオンラインに対して抵抗感を抱く保護者や教師も多かったが、オンライン授業をせざるを得ない状況になったことで、対面ではできないオンラインの良さに気付いてもらえた。第2波が来ても大丈夫なように、今後も対面とオンラインを同時に展開していきたい」と強調。

さらに「大学入学共通テストのような大規模試験は会場が3密で、インフルエンザや新型コロナウイルスなどの感染症のリスクが高い時期に行われる。入試が紙からオンライン型に変わるのは、時間の問題だと感じる。そうなれば、学校の授業や塾のオンライン化も一気に進むだろう」と、オンライン化の波が入試改革にも影響を及ぼす可能性を指摘した。

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