高校生の就職で地域格差拡大 コロナで進路指導に不安

新型コロナウイルスによる景況感の悪化で厳しさを増す、来春卒業予定の高校生の就職活動を巡り、関係者らが問題を話し合うセミナーが6月17日、開かれた。高校生の就職支援を行う企業や団体からは、求人倍率などの地域間格差が広がる懸念が示され、高校で進路指導を担当する教員らは、限られた期間で十分な進路指導が行えるのかと不安を述べた。

新型コロナウイルスの就職活動への影響を話し合う関係者ら(Zoomで取材)

高校生の就職支援サイトを運営するジンジブが主催。同社代表取締役の佐々木満秀氏は、今年5月に同社が企業の新卒採用担当者327人に行ったアンケートの結果を基に、今年の高校生の採用動向を予測した。高卒採用を行っていると答えた147人に、今年の募集人員の増減について聞いたところ、56.5%が「前年と同じ」、18.4%が「前年より増やす」と回答したものの、職種別にみると新型コロナウイルスの影響を受けやすい宿泊業や飲食業などでは、採用を絞る傾向がみられたという。

佐々木氏は「観光で支えられている地方では、圧倒的に減ってくる可能性がある。今年の就職活動は地方の高校生にとって厳しくなる」と指摘。その上で「今後、夏休みが短縮され、授業を優先しなければならない教員が進路指導まで手が回らずに、キャパオーバーすることが懸念される。オンラインによる就職活動のサポートなどにも取り組んでいきたい」と強調した。

高校生のキャリア形成を支援する「スクール・トゥ・ワーク」の古屋星斗代表理事は、新型コロナウイルスによる休校長期化を受けて、企業の選考開始時期が1カ月後ろ倒しとなった影響を分析。「最大の懸念として、就職内定率の低下、特に地域格差がある。2009年ごろのリーマンショックの影響で、就職内定率は都市部と地方の間で差が広がった。地域の産業構造の違いで大きなばらつきが出るのではないか」と予想。

1社のみに希望を出し、地元企業中心という現状の高校の就職指導では対応できないとして、民間企業や外部サポーターと連携して都道府県をまたいだ就職先の開拓を進めることや、最初の企業で内定が決まらなかった生徒向けの2次募集の日程は従来通り堅持することなどを提案した。

後半のトークセッションでは、生徒の進路指導に関わる高校関係者が登壇。通信制高校のKTCおおぞら高等学院の書上智・三重四日市キャンパス長は「新しい生活様式や在宅勤務が進み、就職先の企業も求人票だけでは測りきれない部分が出ている。企業見学では、例年以上に生徒が自分の目でしっかり確かめて志望先を決めていかないと、ミスマッチが起こってしまうと感じている」と話した。

公立高校に勤務する新井晋太郎教諭は「このままでは教員も生徒も時間がない中で就職先を決めなければいけないと思っていたので、スケジュールの後ろ倒しはよかった。3月以降、生徒とはオンラインで進路指導の面談をしていた。この状況では、生徒の就職支援は教員だけではやりきれない面がどうしても出てきてしまう」と述べ、外部の支援を求めた。

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