「わいせつ教員」は懲戒免職 性犯罪・性暴力対策を強化

性暴力の被害を受ける子供が後を絶たない中、内閣府、文科省、警察庁、法務省、厚労省の局長級で構成する政府の「性犯罪・性暴力対策強化のための関係府省会議」が6月18日までに開かれ、性暴力の未然防止や被害者の支援につなげる各府省の取り組みを決めた。児童生徒らにわいせつ行為をした教員を原則として懲戒免職とすることや、児童生徒らへの啓発教育と相談体制を充実させることなどが盛り込まれ、2022年度までの3年間を性犯罪・性暴力対策の「集中強化期間」とするとした。

関係府省は今年度から2022年度までの3年間とした性犯罪・性暴力対策の「集中強化期間」に、刑事法の在り方の検討、被害者支援の充実、加害者対策とともに、教育・啓発の強化に取り組む。この方針を踏まえ、文科省は子供が性暴力の加害者や被害者、傍観者のいずれにもならないように、教育・啓発内容の充実、相談を受ける体制の強化、わいせつ行為を行った教員らの厳正な処分、社会全体への啓発に向けて、今後、取り組みを強化していくとした。

同省は関係府省会議を受けて、「性犯罪・性暴力対策の強化の方針の決定について」と題した通知を6月12日付で都道府県知事、都道府県と指定都市の教育委員会の教育長、国公私立大学長らに出し、関係府省会議で決まった各府省の取り組みを伝えた。同省関連では、就学前の教育、保育を含め、地域の人材の協力や保護者の理解を得ながら、取り組みを推進することを求めている。

具体例として▽小学校高学年や中学校で、SNSなどで知り合った人に会うことの危険性や、被害に遭った場合の対応などについて考える▽中学校や高校で「デートDV」などを教材として、親密な間柄でも嫌なことは嫌と言う、相手が嫌と言うことはしないという認識の醸成に向けた指導を行う。性被害に遭った場合の支援センター、警察などの相談先についても周知する▽高校や大学入学時のオリエンテーションとして、レイプドラッグの危険性や、相手の酩酊(めいてい)状態に乗じた性行為の問題、セクハラなどを周知する。被害に遭った場合、通報や証拠保全などの対応や、相談窓口の周知も行う▽障害のある児童生徒らに向けて、個々の障害の特性や程度などを踏まえた適切な指導を行う――ことを挙げた。被害に遭っている子供が今も実際にいることから、有効な取り組みは直ちに進めるべきだとした。

指導に際しては、工夫した分かりやすい教材や、年齢に応じた適切な啓発資料、生徒間での対話と議論を深める形式やアクティブ・ラーニングの手法も取り入れた手引書などを、有識者らの知見も得ながら、関係府省で早急に作成、改訂し、文科省から教育委員会や高等教育機関などに周知するとした。これを基にした指導を地域の実情に応じて、21年度から22年度にかけて教育現場に取り入れ、教職員を含めた関係者への研修も実施するとした。

性的被害を受けた児童生徒がSOSを出しやすくなるよう、学校の相談体制を充実させるに当たっての留意点としては、▽親による性的虐待や生徒間における性暴力など、状況によって対応が異なる▽子供から話を聞いた時の初動対応が重要であり、速やかに事情を聴くことにつなげるなど、児童相談所、警察などとの連携が有用となる▽非行や問題行動を起こしている子供の背景に、虐待や性的被害がある場合も考えられる――ことを示した。

一方で、児童生徒らに対してわいせつ行為に及んだ教員については、原則として懲戒免職とし、告発を遺漏なく行うことを徹底するよう、改めて各教委に指導するとした。また、過去に児童生徒らへのわいせつ行為が原因で懲戒処分を受けた教員について、教員免許の失効から3年が経過すれば再取得が可能になっている現行制度をより厳しく見直すことを念頭に、法制上の課題を含めて検討を進めるとしている。保育士などについても、同様の対応を検討するとした。

関係府省会議が示した施策については、今年7月を目途に、可能な限り具体的な実施方法や期限などの工程を作成し、本年度中に策定予定の第5次男女共同参画基本計画に反映させるとした。

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