マイナンバーを学校現場で活用 GIGAスクールなどで

新型コロナウイルス感染症によって日本社会のデジタル化の遅れが表面化した事態を受け、政府は6月23日、マイナンバー制度と国と地方のデジタル基盤の抜本的な改善を目指すワーキンググループ(WG)の初会合を開き、菅義偉官房長官が席上、課題の一つとして、マイナンバーを学校健康診断やGIGAスクール構想など教育分野で活用する考えを表明した。今年末までに具体的に活用する対象や範囲を定め、実現に向けたスケジュールを示す工程表を作成する。学校現場では現在、GIGAスクール構想の下で1人1台端末を配置するハード面の整備が進められているが、児童生徒個人の健康・医療情報や学習履歴(スタディ・ログ)など、ソフト面の整備にマイナンバーが重要な役割を果たす方向性が浮かび上がってきた。

WGは、政府のデジタル・ガバメント閣僚会議の下に置かれた「マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループ」。若手のIT企業幹部などの有識者と関係省庁の担当者で構成されている。

会議であいさつした菅官房長官は「10万円の特別定額給付金を巡り、行政ならびに社会全体のデジタル化を進めることが、いかに重要であるか改めて認識された。今後のわが国の成長力、国際競争力を維持するために、マイナンバー制度および国と地方のデジタル基盤の抜本的な改善を図る必要がある」と述べ、政府として社会全体のデジタル化を一気に加速させる考えを強調した。

その上で、WGが取り組むべき課題として、(1)9月スタートの新ポイント制度などを通じたマイナンバーカードの普及加速(2)運転免許証などのデジタル化や、在留カードとマイナンバーとの一体化(3)学校健診やGIGAスクール構想など教育分野への活用(4)業務システムの早急な統一・標準化(5)民間の顧客サービスにマイナンバー制度を活用しやすいシステムの構築(6)マイナンバーカードの発行主体である地方公共団体情報システム機構(J-LIS)の抜本的強化――の6つを挙げた。

内閣官房の担当者によると、教育分野で取り上げられた学校健診は、パーソナル・ヘルス・レコード(PHR)の一環に、学校が行う健康診断情報を取り込んでいく狙いがある。PHRは、国民一人一人が自分の医療・健康情報を収集して一元的に保存し、必要に応じて医療機関に提供するなどして活用する仕組みで、健康医療情報の活用が発達障害やいじめへの対応など、学童期の課題解決に役立つとの見方もある。

厚労省が所管する妊婦健診や乳幼児健診ではマイナンバーを使ったデータ管理が実用化されつつあるが、それに続く小学校入学後の健康診断情報はデジタル化されないまま、各自治体が独自に保管しているケースが多く、乳幼児健診と学校健診の接続が課題となっている。昨年6月に閣議決定された政府の「経済財政運営と改革の基本方針2019」(骨太の方針)にも盛り込まれ、文科省は昨年秋から厚労省とともに取り組みをスタートさせていた。

GIGAスクール構想での活用については、内閣官房の担当者によると、1人1台端末が配備され、児童生徒一人一人が学校などのネットワークに入っていく際に、本人認証の手段としてマイナンバーを活用することが検討されるという。

文科省は6月11日の中教審特別部会で、感染症が収束した「ポストコロナ」段階の学校の姿として、教師が対面指導と家庭や地域社会と連携したオンライン教育を使いこなすハイブリッド化された学びを描いたが、そこで想定されている学習履歴(スタディ・ログ)による個別最適化された学習には、児童生徒一人一人の本人認証が必須となる。WGの議論次第では、マイナンバーを使って児童生徒本人が自分の学習履歴を管理するという道筋も浮かぶ可能性がある。

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