【入試改革】英語「話す試験」の難しさ 専門家が激論

今後の大学入試について議論する文科省の「大学入試のあり方に関する検討会議」の第10回会合が6月26日、WEB会議で開かれた。今回の会合では、英語民間試験の導入を検討するに当たって特に課題の大きい「話す」能力の測定について、すでに一般選抜でスピーキング(話す)試験を課している大学の有識者が発表。大学で必要とされる英語力をどのように測るべきかについて議論し、スピーキング試験の導入には制度設計やインフラの整備など、課題が大きいことが改めて浮き彫りになった。

WEB会議で行われた検討会議の様子

まず、昨年度から一部の学部で英語試験にスピーキング試験を導入している東京外国語大学の林佳世子学長が発表した。同学では2014年には学内で検討を開始したものの、試験システムの独自開発は難しく、17年には英国政府機関のブリティッシュ・カウンシルと協定を締結。問題作成は同学が行い、採点はブリティッシュ・カウンシル側が行うという体制を構築した経緯を説明した。

「国や地域に応じた設計ができ、一般選抜と同じ日に同じ会場で実施が可能。さらに他の民間試験と異なり、スピーキング試験のみを行うため、受験生の経済的負担も最小限」と話した。「スピーキング試験は英語力を総合的に見るためには重要。ただし、ICTの活用が不可欠であり、相当の準備が必要。共通テストで課すなら、自前でやろうとするのは得策ではない。英語圏の政府と協力して試験開発をしてはどうか」と結論付けた。

また、京都工芸繊維大学の羽藤由美教授は、12年から独自にスピーキング試験を開発した過程を紹介。同学では17年からAO入試で活用しているという。

羽藤教授は英語の民間試験導入について、「必然的に数が減る受験生を、複数の事業者に奪い合わせる形で、民間試験を入試に利用すると制度が破綻する」と厳しく指摘。「民間試験は受験からスコア返却までの過程が見えづらく、民間事業者が利益を優先した場合、試験の質や公平性・公正性に影響が出る」として強い懸念を示した。

とりわけ、読み書きやリスニングに加えて人員や設備のコストがかかるスピーキング試験では、事業者による不適切なコスト削減が行われる可能性が高いと指摘。英語民間試験の共通基準とされているCEFR(セファール)で同一レベルとされていても、試験によって測れる能力の内実が大きく異なる可能性を危惧した。

羽藤教授は「制度の構造的な問題に起因することで、事業者を一方的に責められない」として、民間試験の導入に当たっての熟慮を促した。ただ、個々の大学が単独でスピーキングテストを導入するのも費用や手間がかかることから困難であり、長期的な視点から産学共同で試験実施機関を立ち上げるといった方策を考えるべきだとした。

これに対して委員からは「共通テストにスピーキング試験を入れることの可能性をどう見るか」との質問が上がり、羽藤教授は「TOEFLのような複数回受験の形態であれば可能だろうが、共通テストと同時に一斉に行うには、かなりの技術開発が必要」と応じた。

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