厚労省はこのほど、仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や精神障害などによる、過労死を含めた労働災害(労災)の昨年度中の申請件数などを公表した。私立学校や学習塾の教職員が含まれる「教育、学習支援業」の請求件数は、脳・心臓疾患と精神障害を合わせると88件で、業務上の疾病と認定され、労災保険給付を決定(支給決定)したのは14件だった。
全体でみると、昨年度中の請求件数は2996件(前年度比299件増)で、支給決定は725件(同22件増)。支給決定件数のうち、自殺未遂を含む死亡事例は174件(同16件増)だった。
「教育、学習支援業」では、脳・心臓疾患の請求件数は14件(同6件減)で、支給決定は2件(同増減なし)。一方、精神障害の申請件数は74件(同15件増)、支給決定は12件(同1件減)で、精神障害が脳・心臓疾患を大きく上回った。
自殺未遂を含む死亡事例の請求は、脳・心臓疾患で3件(同3件減)、精神障害は8件(同4件増)で、支給決定はいずれも0件だった。
業種別にみると、精神障害の請求件数で「教育、学習支援業」は9番目に多く、そのうち「学校教育」は55件で、うち未遂を含む自殺は7件だった。
「教育、学習支援業」には、私立の幼稚園、小中高、大学、専修学校などの教職員や、民間の学習塾の職員などが含まれる。公務災害が適用される国公立の学校の教職員は対象外。
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