教師の専門性の向上を 特別支援教育に関する有識者会議

特別支援教育の課題について検討している文科省の「新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議」は6月30日、第8回会合をオンラインで開き、障害のある子供たちへの教育をどう充実させるか、これまでの会合を通じた論点整理を行った。障害のある子供たちが社会の変化に応じて学び続けられるよう、特別支援教育に携わる教師の専門性の向上や、ICTの活用、関係機関の連携強化による支援体制の充実が求められるとし、論点整理に反映させようと委員が意見を出し合った。

オンラインで行った有識者会議

特別支援教育を巡る状況と基本的な考えについては、共生社会の形成に向けて、障害のある子供とない子供が可能な限り同じ場で学ぶ「インクルーシブ教育システム」の理念が重要であり、特別支援教育を一層充実させていく必要があるとした。その上で、教育的配慮が必要な子供に対しては、柔軟な指導ができるような仕組みを整備することが重要だとした。

障害のある子供の学びの場の整備や連携強化については、通常の学級に特別支援学級の子供の副次的な籍を導入し、ホームルームなどの学級活動や給食は原則として一緒に行うことが必要だとした。教科学習についても児童生徒の障害の程度を踏まえ、共同で実施することが可能なものについては、年間指導計画などに位置付けて実施してほしいとした。

障害の種類や程度によって、臨床心理士、言語聴覚士など校外の専門家と連携しながら指導する教育システムの整備を進めることを求めた。特別支援学校の対象ではない発達障害についても、成長とともに精神疾患の症状が顕在化し、特別支援学校で学習することが必要な子供もいるため、専門家の知見を活用しながら、発達障害の特性を踏まえた支援の充実を図る必要があるとした。

また生徒の中には、進学や就職をしても環境になじめず、周囲とうまくいかなくて中退や退職の道を選び、そのまま社会から孤立してしまうケースも見られることから、高校段階で自分の得意なことや苦手なことなどの自己理解を促し、対処法を学びながら自信を高めるような指導や支援が必要だとした。卒業後の進路先に、必要な配慮についての情報が引き継がれるように、関係機関との連携も求められるとした。本人や保護者が障害の可能性に気が付いていない場合もあることから、気になる生徒の実態把握に努めて、卒業後を見据えた支援も重要だとした。

特別支援教育を担う教師の専門性を向上させるため、教職課程では特別支援教育に関する基礎的な知識を習得するとともに、介護等体験などで障害のある人や子供との触れ合いを通じて、障害による暮らしや学びの困難さを自分のこととして捉え、当事者と一緒に解決策を考えるような経験や態度を身に付けてほしいとした。研修には特別支援教育に関する知識だけでなく、実際の勤務現場を想定した課題解決型の研修が求められるとした。

また、教師が特別支援教育の魅力ややりがいに気付く仕掛けをつくり、特別支援教育に関する知識や技能、経験を評価して、人事異動や管理職登用にも考慮してほしいとした。

ICTについては、障害の状態や心身の発達段階などに応じて活用することで各教科の学習効果を高め、指導に効果を発揮できるとして、積極的な活用を求めた。例として、遠隔授業は病気療養児にとって学校の友人関係や学習を途切れさせることなく続けることを可能にする方法であり、病気に立ち向かうモチベーションになるなど、大きな成果を上げていることを挙げた。

各教科の指導では、単にICTを使用することを目的とした授業づくりではなく、どのようにICTを関連付けて活用すればよいか分析する力を培っていくことが大切だとした。

委員からは「特別支援教育を充実させるためには、管理職の研修も必要」「行動障害のある子供たちに対しては、エビデンスのある指導方法を学び、活用していく必要がある」「特別支援教育でのオンライン授業に関しては、子供の障害に応じて個別の課題があるが、できることからやらなければならない」「教科学習をどう進めていくか考えた上でないと、教育の連続性は保障できない」などの意見が出された。

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