英検会場で混乱 コロナ禍の試験・受験運営に課題

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で実施が見送られていた、今年度初回となる英検の第一次試験が6月末に実施された。しかし当日の運営が、SNSで波紋を呼んだ。ヘルスチェックや時差集合の導入など感染予防策が敷かれたものの、全国の会場で「3密だった」「長蛇の列で、なかなか入場できなかった」などの報告が相次いだのだ。会場で何が起こったのか。

当日の運営について、日本英語検定協会の担当者は「混乱が生じたのは事実だが、それで試験時間の大幅な遅延や、試験自体を実施できなかった報告はない。ただ感染予防を引き続き徹底させながら、今回のような混乱を再び起こさないために、さらに対策を講じなければいけない」と話す。

今年度初回となる一次試験は本来であれば5月末に実施予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で6月28日にずれ込んだ。同協会では厚労省や文科省のガイドラインに沿って、当日の運営方法について熟考を重ね、独自のガイドラインを作成した。

まず、これまで一律だった集合時間を級ごとに分散させ、受付の混雑緩和を図った。例えば、▽準2級 午前9時5分▽準1・4級 午前9時20分▽2級 午後1時5分▽1・3・5級 午後1時20分――など。

さらに受験者に対して、当日会場に来る前のヘルスチェックを呼び掛けた。受験者は公式アプリから▽いつもの体温と比べて発熱がある▽咳がある▽味がしない、においがしない――などの設問に答える。該当するものがなかった場合は「受験可能」というページが出て、当日はその画面を見せて試験会場に入場する流れだった。

しかし試験当日は、想定以上に自宅でチェックしてくる受験者が少なかったという。そのため会場での検温やチェック用紙への記入などの時間が大幅に増え、混雑を生じさせる一因になったようだ。

また会場設置についても、課題があった。これまで英検の会場の多くは敷地が十分にある高校や大学の校舎が使用されてきたが、休校の影響や感染拡大防止の観点で軒並み断られたという。

そのため、今回の会場は貸し会議室を中心に設置。教室の収容人数に対する広さは確保できているものの、教室に向かうためのエレベーターの数が少なく、エレベーターホールの広さも十分ではないなど、環境が整っていない場所が多かったという。その結果、当日は関東を中心に雨が降っていたが、受験者は悪天候の中、試験会場に入るために建物の外で長蛇の列をつくる事態が生じたようだ。

また協会は、当日に体調不良が疑われ受験できなかった受験者の救済策を講じると話す。アプリや会場でのヘルスチェックの設問に一つでも該当した受験者には、別日で再受験できるように順次案内を進めている。

学校は制限を課しながらも通常再開に向けて動き始めたが、コロナ禍での試験や受験体制についてはまだまだ不明瞭な点が多い。それに先駆け、英検は実施に踏み切った。

「何が正解か分からない中で、特に受験生のためにも何とか実施したいと、試行錯誤してきた」と担当者は苦しい胸の内を明かす。

同協会には総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜(旧推薦入試)を受験する生徒やその保護者から、「このタイミングで実施してくれないと、(総合型選抜などに)英検のスコアを使えない」といった悲痛な声が寄せられていたという。感染拡大の第2波、第3波も予測される中で、総合型選抜や学校推薦型選抜の需要がかなり高まっているようだと、担当者は話す。

8月には二次試験も控える。今後の対策について、ヘルスチェックのアナウンス方法を工夫して自宅で済ませてくる受験者を増やしたり、集合時間をさらに分散させたりなどの対策を講じる。また二次試験では対面式のスピーキングテストもあるため、面接官と受験者の距離の確保や、面接官がフェースシールドを着用するなどして、飛沫(ひまつ)感染を防ぐ。

「全国の試験会場の立地や周りの環境が同じではないので、一律の混雑対策は難しく、感染状況も刻々と変わる中で感染防止の観点からもガイドラインを適宜アップデートしていかなければならない。今回の混雑状況などを十分に踏まえ、受験者に安心して試験を受けてもらえるよう対策を講じたい」と担当者は話す。

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