オンライン授業で見えた学校の役割 日本教育学会が討論

新型コロナウイルスと共存する社会における学びの保障について議論する、日本教育学会主催のオンライン座談会の第2回が7月10日に開かれ、休校長期化を契機に普及したオンライン授業から見えてきた学校の役割についてディスカッションが行われた。リモート登壇した専門家らは、オンライン授業に関する一連の動きから、学校の存在意義が問い直されていると問題提起した。

学校の役割について議論する登壇者ら(Zoomで取材)

座談会では教育工学が専門の堀田龍也東北大学教授、戦後教育史が専門の小国喜弘東京大学教授、教育方法学が専門の石井英真(てるまさ)京都大学准教授が、新型コロナウイルスの影響で現在、学校現場では何が問題になっているかや、今後、学校の役割がどう変わっていくのかについて、それぞれの立場から見解を述べた。

オンライン授業について堀田教授は、社会からの期待が予想以上に大きかったために、オンライン授業を提供できない学校への失望につながったとの見方を示した上で、学校のデジタルトランスフォーメーション(DX)の遅れが根本的な原因だと強調。

「子供が小学校に入学すると、保護者は家庭環境調査票や健康調査票に同じことを何度も手で書かされる。旅行サイトでマイページに登録された情報が必要に応じて反映されるのに比べれば、あまりにも遅れている。一定の割合で学校の情報化が進まないと、世間からどんどんずれていき、世の中で役に立たないことを学ぶ場になってしまう」と懸念を示した。

新型コロナウイルスの流行前から存在していた学校の問題が、オンライン授業によって顕在化したと指摘した石井准教授は「課題を出した後は音沙汰なしの学校や、オンライン授業が衛星予備校化したところもある。両方とも学び手の目線を想像する力が弱い。アクティブ・ラーニングの根本には学習者視点の授業があるが、それが形だけになっていたのではないか。学習者の視点から、改めて授業や教育活動を見直す必要がある」と強調。オンライン授業とリアルな授業のハイブリッドによって、不登校などの、これまで救えなかった全ての子供を救える学校にしていく覚悟が問われていると呼び掛けた。また、これまで教師が担っていた仕事を学習アプリなどに外注化していくことは、教師の仕事の空洞化につながる危険性もあると警鐘を鳴らした。

小国教授は、教育委員会や学校の横並び意識が反映された結果、自ら適切な判断を下すことなく、本当はオンライン授業に挑戦したくてもできなかった教師の無力感を生んでしまったと指摘。

その上で「憲法26条の学習権の保障を狭義の学力の保障とみなすような矮小(わいしょう)化が起きている。福祉的な機能をベースにして学校の意味を再構築し、リアルな学校生活を基本としつつ、いかにオンライン授業を生かしていくかが問われている」と、休校によって遅れた学習内容を取り戻そうと躍起になっている学校現場の姿勢を批判した。

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