アフターコロナの学校・9月入学 近く教育再生実行会議

萩生田光一文科相は7月14日の閣議後会見で、近く政府の教育再生実行会議を開き、GIGAスクール構想によるICT環境整備を踏まえ、アフターコロナ時代の学校教育の在り方や、早期導入を見送った9月入学について議論に着手する考えを示した。9月入学については「慌てて結論を出すつもりはない」と述べ、将来を見据えた中期的な課題として議論を進める考えを強調した。教育再生実行会議は安倍政権が掲げる教育改革の推進母体と位置付けられており、オンラインを取り込んだ今後の学校教育や、国民的な影響を伴う9月入学を巡り、大きな方向性が議論されることになりそうだ。

教育再生実行会議の開催について説明する萩生田光一文科相

会見に先立ち、萩生田文科相は藤原誠文科事務次官とともに首相官邸を訪ね、安倍晋三首相と約20分間にわたって面談した。

面談の内容について、萩生田文科相は会見の席上、「コロナ後の日本の教育について、環境をどうしていくか、スタンダードをどうしていくか、(教育再生実行会議で)深く議論してもらおう、と(安倍首相と)打ち合わせをした」と説明した。

教育再生実行会議で取り上げる内容については「コロナが発生し、休校を余儀なくされるという事態をわれわれは体験した。アフターコロナを見据えた時に、学校の在り方はどういうものが必要か、前広にしっかりと議論してもらおうと思っている」と述べ、学校に整備されるICT環境の活用法と、先送りされた9月入学が取り上げられるとの見通しを示した。

学校のICT環境整備については「例えば、授業の在り方。幸いにして(GIGAスクール構想による)オンライン環境が年度末までには整備をされるので、単なるインフラ整備ではなくて、活用の仕方をどうしていくのか」と述べ、端末や校内LANなどハード面の整備だけではなく、デジタル教科書や教育データの活用などソフト面が重要になるとの見方を示した。

また、9月入学については「非常にヒートアップしたが、少し落ち着いた環境の中で、メリットやデメリット、将来像をしっかり議論していく」と説明。5月から6月にかけて関係府省の次官級協議で検討した経緯を踏まえ、「あの時期に各省に係る課題について、時間をかけて整理をしてもらった。省庁横断的なものはできあがっているので、それを教育再生実行会議でスクリーニングをして、議論を深めてもらおうと思っている」と、検討の手順を述べた。

その上で、「仮に、9月入学を実施する方向が見いだされるのだとすれば、フィードバックして各省の関係者に集まってもらう、別の会議体が必要になる」との見通しを表明。「念のため言っておくが、そう慌てて結論を出すつもりはない。将来の教育の在り方として、一つの指針として、せっかくの機会だから少し深掘りをしよう、という環境だ」と述べ、結論を急ぐ考えがないことを強調した。

新型コロナウイルス感染症が収束したアフターコロナ時代の学校教育については、文科省が6月11日の中教審特別部会で検討用資料を示し、教師が対面指導と家庭や地域社会と連携したオンライン教育を使いこなし、ハイブリッド化した形で協働的な学びを展開する姿を提示。今年夏には学習指導要領のコードを公表し、学習履歴(スタディ・ログ)など教育データの活用に向けた準備に着手するほか、2024年4月には小学校の改訂教科書の使用開始を契機にデジタル教科書の本格導入を図る方針を示し、今月から検討会議や有識者会議を立ち上げて協議をスタートさせている。

9月入学については、コロナによる学校休校が長期化する中、都道府県の知事や産業界などから導入を求める声が浮上。安倍首相も一時前向きに検討する姿勢を示したが、自民党のワーキングチームが6月1日、「幅広い制度改革についての国民的合意やその実施に、一定の期間を要する」として「直近の導入は困難」であり、「総理の下の会議体」での検討を求めた提言を採択。安倍首相はこれを受け入れ、教育再生実行会議で検討する考えを示していた。

教育再生実行会議は、第2次安倍政権が掲げる教育改革を推進するため、2013年1月に発足した。首相、官房長官、文科大臣兼教育再生担当大臣と有識者で構成され、これまでに11次にわたる提言をまとめている。現在の座長は鎌田薫・前早稲田大学総長。

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