学校デジタル化へ施策続々 骨太の方針と成長戦略を決定

政府は7月17日、経済財政諮問会議・未来投資会議合同会議(議長・安倍晋三首相)で「経済財政運営と改革の基本方針2020」(骨太の方針)と「成長戦略実行計画」を議論し、それに続く臨時閣議で閣議決定した。教育分野では、デジタル教科書が使用できる授業時数基準の緩和を図ることや、遠隔教育の促進に向けたルールの見直し、学校の健康診断で把握した児童生徒の健診データを電子化して、2022年をめどにパーソナル・ヘルス・レコード(PHR)の一部として活用するなど、GIGAスクール構想によるICT環境整備を前提に、学校のデジタル化と教育データ活用に向けた施策が続々と盛り込まれた。

経済財政諮問会議・未来投資会議合同会議で発言する安倍晋三首相(首相官邸のホームページから)

合同会議であいさつした安倍首相は、骨太の方針について「世界が新型コロナウイルス流行というまさに歴史的な危機に直面する中で、わが国として、思い切った社会変革を果敢に実行することによって、自ら未来を切り拓(ひら)いていく。そうした強い意志を持った未来志向の方針」と述べた。成長戦略実行計画については「デジタル化を進め、地方創生を推進するとともに、変化への対応力があり、強靱(きょうじん)性や持続可能性を持った、長期的な視点に立った社会像を追求していく」と狙いを説明した。

骨太の方針では、冒頭で、新型コロナウイルスの感染拡大とそれに伴うグローバル危機により、「われわれは時代の大きな転換点に直面しており、この数年で思い切った変革が実行できるかどうかが、日本の未来を左右する」と厳しい現状認識を表明。

それを受けた教育の課題として「教育の質の向上」に触れ、「予測不可能な未来を主体的に切り拓くことができるよう、アクティブ・ラーニングや学びのデジタル化、外部人材の活用を通じ、個別最適化された深い学びを実現し、課題設定・解決力や想像力のある人間を育成する」と指摘した。このために必要な財政支援を行う際には「教育研究の定量的成果などに応じた、財政支援のメリハリ付けの強化を進める」として、EdTechなどの導入に予算を投下するときには、教育的な成果についてエビデンスが必要との考えを示した。

また、「新たな日常」(ニューノーマル)構築の原動力として、社会のデジタル化に向けて集中投資をするという方針の下、国民一人一人が自分の医療・健康情報を一覧できるPHRをマイナンバーで管理する取り組みについて、2021年に法整備を行い、22年をめどに実現させることを盛り込んだ。PHRの一部には、学校の健康診断で把握した児童生徒の健診データを電子化して取り込んでいくことが想定されている。

教育のオンライン化では、高校・大学の遠隔教育について、「単位上限ルールなどの見直しを検討する」と明記。文科省によると、高校では2015年4月から、同時双方向型の遠隔授業について、全課程の修了要件である74単位のうち36単位までを上限として実施することが可能。骨太の方針は、この単位上限ルールの見直しを想定している。義務教育段階の小学校や中学校については、「遠隔教育・デジタル教材活用を促進する」と同時に、「デジタル教科書が使用できる、授業時数の基準の緩和を検討する」とした。

一方、成長戦略実行計画では、GIGAスクール構想の年度内の前倒し実施に伴い、「ソフト面の改革が不可欠」と指摘。これと合わせて、大学などを高速専用回線で接続するSINETについて「データ流通社会の基盤として積極的活用を図る」と書き込んだ。

ソフト面の改革では、東京都千代田区立麹町中学校で行われたAI教材の実証事業で、単元学習が標準授業時数を大幅に短縮して修了できた結果を受け、「先端技術の活用により個別最適化された学びが可能になる」と指摘。各教科について学年ごとに定めた標準授業時数について、「特定科目の授業時間を柔軟に増減できるよう検討を進める」と見直しを表明した。

学習者用デジタル教科書について、個別最適化された学習によってある教科学習が早く進んだ場合、残った授業時数を「総授業時数の2分の1未満」を限度に他の教科に振り分けることができるように、学校教育法施行規則上の基準を見直す考えを示した。

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