教育再生会議にWG設置 「新たな日常」の学校像を議論

ポストコロナの学校教育について、安倍晋三首相が直轄する教育再生実行会議で本格的な議論がスタートすることになった。政府は7月17日、次回の会議を7月20日に開き、初等中等教育と高等教育の2つのワーキング・グループ(WG)を設置する方針を表明。初等中等教育では、学校教育における対面指導とオンラインのハイブリッド化など、ICT活用を踏まえた「新たな日常」(ニューノーマル)における教育について方向付けを目指す。高等教育では、国際的な大学の競争・連携やデジタル化への対応などが検討される。9月入学(秋季入学)も課題に挙げられた。

教育再生実行会議について説明する萩生田光一文科相

教育再生担当大臣として教育再生実行会議に出席する萩生田光一文科相は7月17日の閣議後会見で、会議の進め方について「早急に取り組む必要のある課題と、じっくり議論しなければならない課題がある」と指摘。感染予防策やICTを活用したオンライン授業など、新型コロナウイルスの感染拡大に関わる課題については「来年5月ぐらいには取りまとめをしてもらいたい」と述べた。一方、9月入学については「じっくり議論をしなければならない課題」として、結論を急がない考えを強調。「(会議の進め方は)そういう二段構えでいいのではないかと思っている」と話した。

内閣官房教育再生実行会議担当室によると、今回の教育再生実行会議のテーマは「ポストコロナ期における新たな学びの在り方について」。

テーマ設定の背景として▽新型コロナの感染拡大で、ICTを活用した教育環境の遅れや、家庭学習の確保・支援の在り方などの課題が明らかとなった▽今後、感染症や災害によって学校が臨時休校せざるを得ない場合でも、子供たちの学びを確実に保障できる環境の整備・構築が極めて重要。合わせて、ポストコロナ期の「新たな日常」に応じた、新しい学びの在り方も検討する必要がある――との現状認識を表明。9月入学については、「さまざまな課題がある一方で、教育上のメリットもあるとの意見があり、今後、コンセンサスを得られる形で検討を進めていくこととされた」としている。会議では、これまで実施してきた取り組みや財源も踏まえて検討を行う。

教育再生実行会議は、第2次安倍政権が掲げる教育改革を推進するため、2013年1月に発足した。首相、官房長官、文科大臣兼教育再生担当大臣と有識者で構成されている。今回は本体となる実行会議の下に、初等中等教育と高等教育の2つのWGを設置する。それぞれのWGは、本体会議の有識者から主査1人と副主査2人の計3人と、新たな専門家などが参画する。

初等中等教育WGでは、どのような状況下でも学びを確実に保障する方策や、「新たな日常」に応じた、新しい学びの在り方を検討する。例えば、ICTを活用した新たな学びとして、対面指導とオンラインのハイブリッド化による対話的で協働的な学びの深化や、デジタル教科書の普及・促進が検討事項となる。また、感染症対応やICT活用のための指導体制や環境整備の在り方も議論される見通し。

高等教育WGでは、国際化やデジタル化の進展への対応や、柔軟かつ強靱(きょうじん)な仕組みの構築など、次世代の高等教育の在り方について議論する。例えば、対面とオンラインのハイブリッド教育や大学設置基準などの弾力化、通年入学・卒業・採用やリカレント教育の推進を踏まえた大学と社会との接続、学事暦・修業年限の多様化、オンライン教育の活用や新たな留学生政策、ジョイント・ディグリーの推進など高等教育の新たな国際展開――などが検討事項として挙がっている。

教育分野だけではなく社会全体で検討すべき事項は、必要に応じて合同WGを開いて議論を進める考え。合同WGでは、9月入学や、学校・家庭・地域を社会全体で支えるための「新たな日常」における働き方などが、検討課題として想定されている。

萩生田文科相は、教育再生実行会議を開催する狙いについて、「感染症の拡大や学校の臨時休校で、ICTを活用した教育環境の遅れ、家庭学習の確保、支援の在り方などの課題が明らかとなった。今後同様の事態が生じた場合でも、子供たちの学びを確実に保障できる環境を整備、構築していくことが極めて重要。併せてポストコロナ期の『新たな日常』に応じた、新たな学びの在り方についても検討する必要がある」と説明。

また、9月入学については「学びの保障とは切り離して、ポストコロナ期における新たな学びの在り方について検討する中で、議論してほしいと思っている」と、明確に述べた。

萩生田文科相はこれまで、学校の休校が長期化する場合に備え、9月入学は入学や卒業の時期をずらして学校行事を含む学びの保障に必要な時間を確保するための「選択肢の一つ」とする立場をとってきており、9月入学と学びの保障を切り離して政策対応に当たる考えを表明したのは、これが初めてとみられる。

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