ポスト・コロナの新たな学び 中教審で方向性まとまる

ポスト・コロナ時代の新しい学びなどを検討してきた中教審「新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会」は7月17日、第11回会合を開き、これまでの議論を踏まえ、対面指導と遠隔・オンライン教育を組み合わせた学びのイメージを具体的に示した。また、関連する部会などから報告を受け、小学校高学年での教科担任制の本格導入に向けた小・中両方の教員免許状の取得推進や、普通科高校での特色ある学科の設置、インクルーシブ教育といった新たな取り組みの方向性をまとめた。

WEB会議を進行する荒瀬克己座長

特別部会では9月末に中間まとめの案を示し、今年度内に答申をまとめる。17日の会合で報告された内容は次の通り。

ポスト・コロナの新しい学び―ハイブリッド化のイメージ示す―

文科省はポスト・コロナの段階において、対面指導と遠隔・オンライン教育を組み合わせた新しい学びの実現を目指すとしており、今回の会合ではこれまでの議論を踏まえ、学びのイメージを具体的に示した。

対面指導と遠隔・オンライン教育のハイブリッド化を進めるに当たり、文科省は▽デジタル教科書・教材の普及促進▽学習履歴などを活用した、きめ細かい指導の充実や学習の改善▽臨時休校時におけるオンラインを含む家庭学習――を中核に位置付けた。

その上でICTの具体的な活用場面として、不登校児童生徒と学校をつないで授業や相談を行う、病気療養児が病室などで授業を受ける(いずれも出席扱い)といった例を提示。

また、海外の児童生徒と交流して多様な文化に触れたり、国内外の大学や研究機関・企業と連携した指導により、特異な才能を持つ児童生徒への指導を行ったりすることが考えられるとした。

さらに、中山間地域の学校においては遠隔授業を活用し、多様な考えに触れる、協働して学習に取り組むといった機会を充実させる。同時に、複数の高校をネットワーク化し、科目の相互履修が可能になる新たな仕組みを構築するという方向性も示した。

ICTの活用に当たっては、教員を日常的にサポートするICT支援員の配置を進めるほか、環境整備のための初期対応やルール作成の支援を行う「GIGAスクールサポーター」についても配置を進める。

また、教育委員会においても、ICTに関する専門性を有した人材が意思決定に関与できるようにするほか、ICT環境整備に関する計画策定、効果的な指導方法についての助言を行うICT活用教育アドバイザーを登用する。

こうした方向性に対し、委員からは「オンラインでの活動だけでなく、教室での学習やテストにも学習履歴を活用することが有効」「災害時の家庭学習を想定すると、パソコンを持ち帰った児童生徒に対する直接的な支援も必要ではないか」「教育委員会の在り方についても、より目を向けるべきはないか」といった意見が出された。

教員免許制度―小・中両方の免許状を取得しやすく、ICT活用指導力も育成―

小学校高学年での教科担任制の導入など、義務教育の9年間を見通した指導を可能にすることを目指し、小中学校の両方の免許状を取得しやすくする。

教員養成段階では、これまでも両方の免許状の取得を促すため、共通で修得する内容について共通開設を認めるなど、取得単位数の軽減が図られてきた。今回はさらなる負担の軽減に向け、同一学部同一学科における場合に限られていた共通開設を、他学部他学科においても認める。

同時に、「教科及び教科の指導法に関する科目」や「教職実践演習に関する科目」のうち、教育実習についても共通開設できるようにする。これにより、学生が取得する単位は118単位を87~91単位にまで、4分の1以上減らすことが可能になる。

また、すでに中学校の免許状を取得して勤務している人が小学校の免許状を取得する場合、これまでは中学校での勤務経験のみが問われてきたが、小学校の勤務経験も算入できるようにして、取得へのハードルを下げる。

さらにICT活用指導力の養成についても課題となっていることから、教員養成段階において各教科の指導法に「情報機器及び教材の活用」が新しく追加されているが、ICT活用指導力を確実に身に付けられるよう、国がICT活用についての動画コンテンツを提供するほか、大学の授業の取り組み状況をフォローアップする。

現職の教員については、都道府県教委などが定める育成指標において、ICT活用指導力を明確に位置付け、研修を体系的・効果的に実施できるようにする。

普通科高校改革―特色ある学科で、高校生の学習意欲を喚起―

高校では中学校に比べて、学校生活への満足度や学習意欲が低下しているという調査結果を踏まえ、高校生の約7割が在籍する普通科高校において特色ある学科・課程を、設置者の判断で設置できるようにする。

具体的には、①SDGsの実現やSociety5.0における現代的な諸課題への対応を図るために、学際科学的な学びに重点的に取り組む学科②地域や社会の将来を担う人材の育成を図るために、地域社会が抱える課題の解決に向けた学びに重点的に取り組む学科③そのほか、普通教育として求められる教育内容で、特色・魅力ある教育を実現すると認められる学科。

さらに専門学科についても地域の産官学と密接に連携し、将来の地域の産業構造や人材育成の在り方に基づいた、教育課程の開発・実践を進める。

萩生田光一文科相は7月17日の記者会見で、「必ずしも現状の普通科の教科・科目を残しながら(特色のある科目を)上乗せするのではなく、この際、子供たちに興味を抱いてもらい、学ぶ意欲をかき立てるような中身に変えていかなければ」と述べた。

特別支援教育―障害のある子供・ない子供が共に学ぶ―

特別な支援を受ける子供の数が増加する中で、障害のある子供・ない子供が可能な限り共に教育を受けられる条件整備を進める。また障害のある子供には、通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校など、連続性のある多様な学びの場を充実させる。

障害のある子供・ない子供が共に学ぶ活動を広げるため、通常の学級に特別支援学級の児童生徒の副次的な籍を加え、ホームルームなど学級活動や給食については原則、共に行うこととする。また教科学習も児童生徒の障害の程度を踏まえつつ、可能なものは共同で実施する。

また、障害のある子供がニーズの変化に応じて学びの場を変えられるよう、多様な学びの場の間で、教育課程が円滑につなげられるようにする。

こうした方向性を踏まえ、全ての教員が発達障害などの特性を踏まえた学級経営、授業づくりに関する専門性を向上させるほか、特別支援学級や通級による指導の担当教員に対しては、OJTやオンラインなど参加しやすい研修を充実させる。

また特別支援学校の教員には、重複障害や発達障害などへの対応を含む教職課程の見直しや、コアカリキュラムの策定を行う。

次のニュースを読む >

関連