GIGAスクールの「通信簿」報告 政令市・東京23区対象

自民党は7月21日、教育再生実行本部(本部長・馳浩元文科相)を開き、GIGAスクール構想による児童生徒への1人1台端末の整備促進策について協議した。席上、文科省は、20政令市と東京23区を対象に、7月20日時点で端末の調達状況をヒアリングした調査結果を報告。それによると、8政令市5区の計13自治体が事業者の選定を終え、渋谷区では8月までに全ての端末の調達が完了する見通しとなっている一方、東京の6区では区議会で関連経費の承認さえ行われていないことが分かった。端末調達状況の“通信簿”とも言える内容が明らかになるのは、今回が初めて。こうした調査を元に、自民党教育再生実行本部では、同党の県連や地方議員などを通じて、整備が進まない自治体の首長らに対し、9月議会で積極的な取り組みを働き掛けていく方針を了承した。

自民党教育再生実行本部であいさつする馳浩本部長(元文科相)

政府は、全国全ての小中学生に1人1台端末と通信環境を整備するため、GIGAスクール構想として、昨年度と今年度の補正予算で計4610億円を計上。関連法案は4月末までに国会で成立した。この予算を実際に執行して、公立の学校現場にパソコンやタブレットなど児童生徒への1人1台端末と通信環境を届けるためには、学校設置者である市区町村による関連経費を計上し、地方議会の承認を受けた上で、調達を公示して事業者を選定しなければならない。

文科省では、学校設置者である自治体に対し、最終学年に当たる小学6年生と中学3年生を優先して8月末までに端末の配備を終え、そのほかの学年は今年度内に端末の配備を完了させるよう求めている。

今回の調査結果は、こうしたGIGAスクール構想の整備状況が実際にどこまで進んでいるか、自治体に初めて直接ヒアリングした内容となっている=表参照。全国に1700以上ある市区町村全てにヒアリングするのは時間がかかるため、今回は20政令市と東京23区の計43自治体を対象とした。

それによると、まず学校設置者にとって端末調達の入り口となる、関連経費の議会承認の有無を聞いたところ、政令市は20自治体全てが議会承認を終えている。これに対し、東京23区では、6区がまだ議会承認を受けていない。6区のうち、5区は「9月議会で承認予定または調整中」としているが、1区は「今後予算要求を行う予定」として9月議会に諮るかどうかさえ決まっていない。

次の段階として調達が公示されると、端末のOSメーカーが仕様に応じて対応できるようになる。現時点で16政令市と13区の計29自治体が調達を公示済みだった。

さらに、事業者の選定が済み、パソコンやタブレットの発注が終わっている自治体は、8政令市と5区の計13自治体だった。こうした自治体では、採用するOSが特定され、事業者から端末の納入を待つ段階になっている。

文科省の説明によると、渋谷区は8月までに調達まで含めて完了し、全ての小中学生に1人1台端末が行き渡る見通し。港区も早く進んでいる。

また、調達方式では、8政令市と17区の計25自治体がリースを採用し、10政令市と4区の計14自治体が購入を選んだ。OS選定では、7政令市と4区の計11自治体がグーグルのChrome OS、3政令市と4区の計7自治体がアップルのiOS、2政令市と5区の計7自治体がマイクロソフトのWindowsを選んだ。

矢野和彦・文科省官房審議官(初等中等教育局担当)は、端末の早期整備について「キッティングと呼ばれる端末の初期設定に1台当たり2時間かかり、何千台も調達すると1カ月も2カ月も時間が必要になってしまう。そこで、キッティングの簡略化が大切になる。また、首長の専決で調達を開始してもらうことが一番のポイントと訴えている」と説明した。

こうした調査を行った狙いについて、馳本部長は「(地方自治体の)9月議会を前に、地方議員から『自分の自治体はちゃんと整備ができているのか』と首長に問いただしていくために調べてもらった。児童虐待など地方議員から働き掛けた方が浸透度が高かった例もある。地方議会でできることを『うちの街もやろう』と働き掛けていくのは、政治の仕事だと思う」と述べた。

一連の協議を受け、自民党教育再生実行本部では、9月議会に向け、県連や地方議員を通じて、自治体の首長らにGIGAスクール構想の実現を積極的に働き掛けていく方針を了承。近く県連や地方議員に向けて文書で通知することを決めた。

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