コロナで拡大した教育格差 学校に何ができるかなど議論

新型コロナウイルスによって拡大した教育格差に、学校や地域は何ができるのか――。日本教育学会は7月20日、新型コロナウイルスと教育をテーマにした3回目となるオンライン座談会を開いた。教育社会学が専門の志水宏吉大阪大学教授と清水睦美日本女子大学教授、社会活動家で「全国こども食堂支援センター・むすびえ」の理事長を務める湯浅誠東京大学特任教授が登壇。休校の長期化による教育格差の問題を話し合った。

拡大する教育格差に学校や地域がどう取り組むかを議論する登壇者(Zoomで取材)

学力格差や、それを縮小させる「力のある学校」の研究で知られる志水教授は、教育格差は入口、プロセス、出口の3つの段階があり、世代間でループしていると説明。今回、コロナ危機が社会や経済に与えた影響によって、保護者の収入が減るなど、入口である家庭環境の格差は確実に拡大すると警鐘を鳴らした。

さらに、オンライン授業の推進などによって子供の学習が個人化することは、家庭の教育力が反映されやすくなるとし、「学び方が分からないような子供にとって、かなり負担になる。(学力の)上と下の差はどんどん広がっていく」と危惧。その対策として、補習などの積極的な格差の是正に取り組み、学力下位層を支援するだけでなく、家庭や地域と連携して教育活動を行っていく「教育コミュニティー」の必要性を強調した。

東日本大震災などの被災地における学校教育の研究を行っている清水教授は、今回の一斉休校は、事前に休校の意味や家庭での過ごし方、何かあったときの相談先、再開の見通しなどの説明がほとんどされないまま、「突然」に行われたことが、格差を広げる方向に働いたと考察し、「子供たちの社会活動と、子供を放っておけないと考えた保護者の生活基盤を奪った」と批判。

その上で、休校期間の意味付けが必要だとし、休校中の出来事を学校で子供たちが語り合い、共有することが、学びへの土台作りになると強調した。

湯浅氏は、子供をはじめとする多様な人々の居場所としての機能と感染防止との両立に向けた取り組みを報告。子ども食堂の多くが感染防止のために通常通りの運営ができなくなる中で、経済的に厳しい家庭などに食材や弁当を届ける「フードパントリー」に乗り出す団体が出てきたことを踏まえ、「平時にはつながりづくりとしての子ども食堂になり、非常時にはセーフティーネットとしてのフードパントリーとして機能するサイクルを、同じ人たちで回していくことを目指していく。そういう地域づくりを通じて、2030年を迎えたい」と語った。

また、子ども食堂などの地域の居場所と学校の連携方策について、「地域の居場所について『学校だより』に載せてほしい。『学校だより』の閲読率は非常に高いので、載せてくれれば一気に浸透する。学校とも連携が深まり、子供も助かるし、結果的に先生も助かると思う」と提案した。

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