子供の最善の利益に基づく意見表明権 WTが考え方整理

虐待で一時保護をする際などに、子供の意見を聞き、最善の対応策を決める仕組みづくりを検討している厚労省の「子どもの権利擁護に関するワーキングチーム(WT)」は7月27日、都内で第2回会合を開き、国連の「子どもの権利条約」を踏まえて、考え方を整理した。WT構成員の大谷美紀子弁護士が報告を行い、子供の意見表明権の保障は、子供の最善の利益の原則に基づいたものであるべきだと強調した。

国連子どもの権利委員会の委員を務める大谷弁護士は、子どもの権利条約に規定されている子供の意見表明権や、虐待による子供の保護などに関する関連条文を取り上げ、ポイントを解説。その上で、親と子供の権利の衝突や、国の判断がどうあるべきかを整理した。

大谷弁護士は「子供の最善の利益は何かを行政機関が判断するためにも、子供の意見表明権がある。特に、虐待を受けた子供の保護では、親の権利と子供の権利が矛盾、衝突する中で、どのような保護措置とするか難しい判断を迫られる。その判断基準として子供の最善の利益がある」と強調した。一方で、子供は意見を考慮される権利があるが、その上で下された判断は子供の表明した意見とは一致しないこともあり、子供の自己決定とは異なると指摘した。

会合に出席した構成員からは「児童福祉司が『子供が帰りたくないと言ったので一時保護する』と判断したケースがあると聞いている。これでは子供に責任を押し付けていることになる。根底から考え方を整理して提示しないと危ない。ただ単に子供の意見を聞きましょうと考えるのは危険だ」「子供の最善の利益はプロセスにあるのではないか。子供の意見をよく聞いた上でたどり着いた結論と、そうでない結論はたとえ同じ内容の結論だったとしても質が違う。意見を聞いた先にしか子供の最善の利益はないのではないか」などの意見が交わされた。

虐待による一時保護などにおける子供の権利擁護を巡っては、厚労省が今年3月に、各自治体で児童福祉審議会などを活用して子供の権利を擁護する施策についてのガイドラインを策定して通知。同ガイドラインでは、施設を巡回して子供の意見表明を支援する子供意見表明支援員の配置や、子供による意見表明や関係機関による申し立て・申し出があった場合の対応などを整理。同省では、ガイドラインに基づく子供の権利擁護についてのモデル実証事業も行っている。

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