社会に開かれた少年院 これからの矯正教育など議論

1本の太い糸より100本の細い糸――。NPO法人「新公益連盟」で少年院に関する支援を行っている団体が主催するオンラインセミナーが7月27日に開かれ、少年院出院者へのインタビュー調査などを基に、これからの矯正教育や、社会に出た後の支援の在り方を関係者が話し合った。登壇者らは少年院が社会に開かれる必要性を訴えた。

少年院の在り方や入所者の支援について議論する登壇者ら(YouTubeで取材)

少年院での取り組みが社会復帰後にどう影響するか、どんなことに困難を感じているかを明らかにするため、同連盟の少年院分科会に所属する団体では、実際に在院経験のある10人に昨年末からインタビュー調査を実施した。

セミナーで同調査から見えてきた傾向を報告したフリージャーナリストの有馬知子さんは、少年院で読書習慣が身に付いていたほか、資格取得に向けた勉強が自己肯定感を高めていたと分析。

「出院した人の中には、同じような立場の人を支援したいと言っている人もいる。この支援をしたいという思いが社会へのつながりになっている。彼らの気持ちを生かすことが、彼らへの支援にもなるのではないか。1本の太い糸よりも100本の細い糸を束ねた方が強い。月に1回程度会っている支援者や慕ってくれる人、そういうつながりが再犯の歯止めにつながっている。いろいろな人たちから少しずつ愛を受けることが鍵だ」と強調した。

また、実際に16歳から1年半、少年院に入っていたシェアリングエコノミー協会の新井博文さんは「出院後、すごくいい会社に就職させてもらったが、この先のイメージがなくて転職にチャレンジした。しかし、中卒なので就職先がない。転職活動を始めたばかりのころは、少年院に入っていたことを隠してはいなかった。結果的に、それで就職のハードルが高くなってしまった」と振り返った。

また、現在は少年院に入所している子供たちと対話する活動をしているといい、「月に一度、父親が面会に来てくれて、最近の家庭のことを話すなど、日常を続けてくれた。毎月それが繰り返されたことで、その延長として家族のもとに帰れた。妹が一度だけ来てくれたときにずっと泣いていて、自分が妹に何ができるのか考えさせられたことはすごく身に染みた」と語った。

少年院での矯正教育に携わってきた法務省矯正局総務課の小山定明課長(前同局少年矯正課長)は、近年の入所者の傾向として、少年非行の数が全体的に減少し、集団で何かをすることが苦手で、他人の身になって考えられない子供たちが増えていると指摘し、教官による個別のケアの重要性が高まっている現状を報告。

「これまで、少年院は自己完結性が強かった。食事や睡眠、勉強など、日ごろの生活のサポートを職員だけで行うには一定の限界があるし、外部の目が入らないと独善的になるという弊害もあった。子供たちにとっても、いろいろな人たちが自分たちを支援してくれていると実感することが非常に大切だ。少年院も、その方向にだんだん進んできている」と述べた。

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