修学旅行は地元の温泉旅館に宿泊 訪問先は生徒が投票で

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、修学旅行の中止や短縮をやむなく決める学校が全国で相次ぐ中、温泉地で知られる鳥取県三朝(みささ)町の三朝中学校が、町内の温泉旅館に2泊して県内を中心に生徒が投票で訪問先を決めるという、工夫を凝らした修学旅行を実施することを決めた。宿泊客が激減している地元の温泉旅館を支援する狙いもあり、同町教委の西田寛司教育長は「ふるさと教育とリンクさせた修学旅行になれば」と、郷土の魅力に理解を深める機会となることに期待を寄せている。

三朝町は人口約6千人の温泉観光と農業の町。町内唯一の中学校の三朝中は例年、3年生が5月に東京などを2泊3日で訪れる修学旅行を実施しているが、今年は新型コロナウイルスの影響で延期していた。鳥取県は感染者が少なく、同町では7月28日現在、感染者が出ていない。首都圏や関西などで感染が再び拡大する中、受験を控えた3年生には2学期に遠方への修学旅行をするのは心配との声が上がり、学校が保護者らと協議して、町内の温泉旅館に宿泊し、感染症対策も入念にした上で、県内や近隣を貸し切りバスで訪ねる修学旅行とすることを決めた。

日程は9月2日から2泊3日。高濃度のラジウム温泉が噴出する同町の温泉街で、1泊は大型旅館を貸し切りにして3年生約60人全員で宿泊し、もう1泊は生徒を4グループに分けて古くからある造りの旅館に分宿する予定だという。貸し切りバスでどこを訪問するかは学校が用意した県内や近隣の観光パンフレットを基に、生徒が投票で決める。町内では郷土芸能や地域に伝わる昔話の語り部などで生徒をもてなすことを検討している。

「自分の住んでいる町のことは、知っているようで知らない所も多い。地元の良さを改めて知ってもらえれば」と、三朝中の岡本勇人教頭は話す。生徒からは「地元の温泉旅館には泊まったことがない。社会人になってから地元をPRできる一つの材料になりそう」との声が上がるなど、修学旅行が中止とならなかったことを喜び、町内に2泊することを楽しみにしている生徒が多いという。

西田教育長は「修学旅行の前には、温泉街の歴史など事前学習の予定もある。旅館組合など地元も協力してくれている」と、コロナ禍を逆手に取った修学旅行に手応えを感じている。

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