社会課題を解決するビジネス創る 中学生からの起業ゼミ

社会課題を解決するための創業を支援する企業の社員が、起業のためのスキルを中学生段階から教える探究型の授業がこのほど、東京都調布市にあるドルトン東京学園中等部・高等部(荒木貴之校長、生徒241人)で行われた。参加した生徒は、実際にビジネスで使われているツールを使い、実際の課題からビジネスを考えた。

リーンキャンバスを使って考えたアイデアを披露する中学生

新しいビジネスのアイデアが本当に価値のあるものかを確認する「リーンキャンバス」と呼ばれるフレームワークを用いて、中学1、2年生の生徒28人が課題を設定。想定される顧客ターゲットやそのサービスが独自に提供できる価値、ソリューションなどを書き出していった。

参加者の自宅と学校はZoomでつなぎ、「ガイアックス」の社員が実際にビジネスにしていく上でのポイントなどをアドバイスした。

例えば、料理のレシピサイトでは作り方が一覧化されているため、かえって分かりにくいと感じた生徒は、一つ一つの手順が順番に表示されるレシピアプリを考案。プログラミングができれば実現できると提案した。

また、別の生徒は、新型コロナウイルスの感染リスクから店舗での買い物はできるだけ避けたいという家族のニーズから、スーパーなどによる宅配アプリを考案。しかし類似サービスがすでにあることを指摘され、サービスの独自性を再検討するという場面もあった。

授業の最後には、ガイアックスで創業支援を担当する「STARTUP STUDIO」責任者の佐々木喜徳さんが「革新的なサービスは、他をまねしてもできない。真っ白な所から独自の価値を生み出すことが大切だ。実際の社会では、分からないことは自ら取りにいく。主体的な学び、自ら学ぶことが重要になる」と生徒にエールを送った。

父親が会社を経営し、いつか自分も起業したいと思いゼミに参加した中等部1年生の磯邉利沙子さんは「どんなもので起業するか方向が決まっていなかったが、ゼミを受けて顧客が何を求めているのかを知ることが成功への道だと分かった」と夢の具体化に向けて手応えを得ていた。

また、同じく中1の小峰新汰さんは「起業など難しくて自分には無理だと思っていたが、身近な所に起業の種があるのだと分かった。本格的なゼミが始まったら、アイデアを自分の力で形にしてみたい」と意気込んだ。

今回はトライアルで、9月以降に開かれる本格的な「起業ゼミ」では、探究ゼミの一環として、起業について学ぶゼミをガイアックスの社員が開講することが計画されている。

同社に起業ゼミの企画を提案した同校の木之下瞬教諭は「これまでも新しいビジネス提案を行う教育はさまざまな学校で行われてきたが、ゴールはビジネスコンテストに出場するくらいで、子供はアイデアを出すだけだった。協力する企業もCSRとして行っていて、本当の意味で起業家を育成していない」と説明。「そこで校内にコワーキングスペースを作り、ガイアックスの社員がそこで働きながら、ゼミの時間や休憩時間に生徒がやって来るようなスタイルにできればと思っている。生徒は6年間、ずっと起業ゼミにいてもいいし、他の探究ゼミを行き来しながら、学んだことをビジネスとして生かせないか考えてもいい」と構想を温める。

佐々木さんも「優れた企業は5、6年で上場する。中学1年生で起業して、卒業までに上場する生徒が出てくることだってあり得る」といい、もしビジネスとして十分成り立つ可能性のあるアイデアが生徒から提案されたら、ガイアックスとして投資するつもりだという。

荒木校長は「もし本当に生徒が起業するとなれば、もちろん、どんどんやりなさいと言う。ただし、利益を必ず出すことが条件。社会でできることをなぜ学校でやってはいけないのか。生徒にはどんどんチャレンジしてもらいたい」と語る。

次のニュースを読む >

関連