リモートワークで地方創生、リカレント教育重視 未来投資会議

Withコロナとポスト・コロナの社会像を議論する政府の未来投資会議(議長・安倍晋三首相)が7月30日、首相官邸で開かれ、大きな方向性として、首都圏への一極集中を是正し、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展を通じた新しい働き方(働き方改革)の定着と、リモートワークによる地方創生の推進によって「分散型居住を可能とする」との基本理念を打ち出した。長期的なビジョンに立った企業像や持続可能性を持った社会像など資本主義の形を問い直す方向性も固まった。教育分野では、リカレント教育やオンライン教育の充実を求める指摘が複数の民間議員から出された。

未来投資会議で発言する安倍晋三首相(首相官邸HPより)

この日の未来投資会議は、来年夏に予定される新たな成長戦略実行計画の策定に向け、新メンバーを加えて拡大した会議の初回に当たる。新型コロナウイルス感染症の影響で、企業戦略の見直しやテレワークの実施が広がり、通勤時間や就労時間が減った一方、地方移住への関心が少しずつ高まり、東京からの人口流出が起きているといった最新のデータを踏まえ、今後1年間をかけて議論すべきテーマについて、首相をはじめ閣僚らと民間議員の意見交換が行われた。

内閣官房の担当者によると、会議では、今後の大きな方向性として、2つの基本理念が了承された。1つは「新しい働き方(働き方改革)を定着させ、リモートワークにより地方創生を推進し、デジタルトランスフォーメーションを不退転の決意で進めること」により、首都圏への一極集中を是正し、「分散型居住を可能とする」方向。

もう1つは、社会像や資本主義の形を問い直すもので、「特定の場所・国に過度に依存しないサプライネットを備え、変化への対応力のある資本主義」「眼前の利益にとらわれず、長期的なビジョンに立った企業像」「脱炭素社会・循環経済の実現を含めた、持続可能性を持った社会像」が挙がった。

教育分野は、「新しい働き方の定着と一極集中の是正」を図る項目の1つとして取り上げられ、「デジタルトランスフォーメーションの地域実装を通じた地方創生の推進」「多様な働き方・暮らし方」などと共に、リカレント教育やオンライン教育を具体的な検討項目にするべきだと指摘された。

会議の席上、産業界の複数の民間議員が「個人が自分で学び続けることが必要。そうした人材作りが待ったなしになっている」などとリカレント教育の重要性を強調。

感染症専門家の尾身茂・地域医療機能推進機構(JCHO)理事長は、教育の重要性について「個人の好みや価値観に応じて学べる機会の構築」という観点で指摘。「これからの時代の変化に柔軟に対応するためには、どの年代層においても、個人の好みや価値観に基づいて生き生きと生活・仕事ができる社会であるべきだ。人間の尊厳のためには、経済的自立も必須であり、それぞれの希望に応じ学ぶ機会を、学校だけでなく社会に出てからも作る必要がある」と説明し、リカレント教育の充実を求めた。

未来投資会議の議論を説明する西村康稔経済再生担当相

こうした議論を受けて、安倍首相は「新たな時代に向けて、次なる事態にも備えることのできる強靱(きょうじん)性を持った社会構造を構築する。未来に向けた社会変革の契機としなければならない。政府も、これに向けた環境整備を検討する」と発言。西村担当相に「今後の審議について具体的なテーマ設定を行い、早速議論が開始できるよう調整を進めてほしい」と指示した。

議論の成果は、年末までに新たな成長戦略実行計画の中間報告をまとめ、来年夏ごろには成長戦略実行計画案を策定する。盛り込まれた内容は、実現可能な内容から来年度予算案への反映や法制化を図る。

西村担当相は会議終了後の記者会見でポスト・コロナの社会像について、「多くの人が画一的に通勤電車に乗るのではなく、テレワークなどを進め、金銭面に限らず、家族と一緒に過ごす時間などを含めて、全ての人が豊かさが実感できる社会を実現していきたい」と説明した。

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