自治体の保育士確保策を報告 高校生に保育の魅力を授業

保育所や保育士の魅力向上策を議論している厚労省の検討会はこのほど、第4回会合を都内で開き、保育士資格の保有者と保育所のマッチングに力を入れている岡山県倉敷市と京都市からヒアリングした。高校生に保育士が保育の魅力を伝える授業を行ったり、他の自治体よりも優れた配置基準や待遇改善をアピールしたりする取り組みが報告された。

潜在保育士と保育所のマッチングについて先進事例を踏まえて意見を交わす厚労省検討会

全国的に深刻な問題となっている保育士の人材確保を巡っては、保育所に勤務した経験があり、現在は保育の現場から離れている「潜在保育士」の活用が期待されていて、潜在保育士の希望と保育所のニーズをマッチングする仕組みづくりが急務となっている。

待機児童問題を抱えている倉敷市では、認定こども園や地域型保育事業など、保育の場が増加。これを受け、公立、私立を問わず、市内の保育所、幼稚園、認定こども園、地域型保育事業など、あらゆる保育の場を一元的に支援する「保育・幼稚園支援室」を設置した。保育関係の就職に関する窓口を支援室に一本化し、潜在保育士が市内の保育現場に就職を希望した場合に、保育実習体験研修会を開き、さまざまな相談に乗ったり、就職後も手厚い定期的な面談を行ったりするなどして、離職を防いでいる。

さらに、若い世代に保育の魅力を伝える活動にも注力している。同市では市内の高校に保育士が出向き、生徒が保育の仕事を学んだり、手作りのおもちゃづくりを体験したりする授業を実施。高校生と年齢の近い保育士が「先生役」を務めることで、仕事について気軽に質問でき、現場の生の声を知る機会となっているという。

同市の担当者は「今いる保育士がやめないような取り組みも意識している。やめたいという保育士も、幼稚園やこども園など、違う現場を紹介することで、保育現場から離れないようにしている。市の保育所で通った子供が、市の保育所に就職し、市全体で保育士の育成を目指したい」と意気込む。

京都市は、手厚い待遇で人材確保を行っている。同市内の民間保育所の給与水準を市職員の給与表に準じたものに統一することで、全国平均の1.34倍というトップクラスの給与水準を実現している。

また、市の条例で保育士配置基準の引き上げも実施。例えば90人が定員の保育所で、国の基準では12人の保育士が必要なところ、京都市では16人の配置としたり、休憩対応の際に必要な保育士を加配したりするなど、職場環境の改善にも取り組んでいる。

同市の担当者は「手厚い保育士の配置や保育士の給与改善など、さまざまな支援によって保育士の『やる気』と『頑張り』を応援している」と話す。

これらの環境整備を踏まえ、同市では保育団体と連携して、同市で保育士として働く魅力をアピールする情報誌を作成したり、SNSのインスタグラムによる保育現場からの情報発信を予定したりするなど、PR活動を強化し、人材確保につなげている。

会合に出席した構成員からは「資格を取っても保育の現場に進まない学生も増えている。保育の社会的使命感の醸成や、一度離職した後、保育士として復帰した際にフォローアップを行うなど、養成校ができることはたくさんある」「マッチングでは、その施設の離職率や有給休暇の取得率、育児休暇などの情報も示すようにして、働きやすさの面からも判断できるようにすべきだ」などの意見が出た。

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