災害時のためトイレの見直しを 学校施設バリアフリー会議

障害のある児童生徒の利便性や、災害時の避難先としての防災機能を学校にどう備えていくかを文科省主導で協議する「学校施設のバリアフリー化等の推進に関する調査研究協力者会議」の初会合が7月31日、WEB会議で開かれた。校内のバリアフリー化を進める小中学校の校長や障害者団体の代表らが、体育館に多目的トイレを設置することや、新型コロナウイルス対策を講じた改修の必要性などを示し、学校施設のバリアフリー化をどう進めていくべきか提言した。

学校のバリアフリー化について協議する協力者会議の初会合

会議では、事務局を務める文科省の文教施設企画・防災部施設企画課が、学校施設のバリアフリー化について現状を報告。全国の公立学校施設のうち、約9割が災害時の避難所として指定され、高齢者や障害者など配慮が必要な人の利用が想定されるものの、スロープの整備などで段差が解消された屋内運動場は約6割、校舎は約7割で、多目的トイレが設置された屋内運動場は約4割、校舎は約7割にとどまっていることが示された。

現在は約8割の公立小中学校に特別支援学級が設置されていることを挙げ、災害時には避難所となる学校施設の防災機能を強化する観点からも、バリアフリー化を一層推進することが求められているとした。

委員からの意見発表では、千葉県富里市立浩養小学校の岩﨑元校長が、同校の多目的トイレは校舎内に1カ所あるだけで、屋内運動場のトイレは入り口が狭く、手すりがないことを説明。昨年10月の台風19号で同校が避難所となり、地域住民約50人が一夜を過ごした時の教訓として、体育館に多目的トイレを設けることや、高齢者らが使いやすいように全部のトイレを洋式にし、避難所となった時の機能を高める必要があると強調した。

東洋大ライフデザイン学部の菅原麻衣子教授も「避難所では、なるべくトイレの近くにいたいと訴える高齢者が多い。体育館にトイレがあるのは大きなこと」と賛同した。

佐賀県多久市教委の田原優子教育長は「災害時の避難所としては、高齢者、妊娠中の女性、アレルギーを持つ人らに配慮した施設でないといけない」として、新型コロナウイルスの感染予防も見据えながら、学校にはエアコンの設置、トイレや水道の蛇口の改修、校舎から体育館へのスロープの設置などの対応が必要だとした。

その上で、「新しい生活様式が求められる今こそ、学校施設のバリアフリー化を進めるチャンス。新型コロナウイルス感染症対策を講じながら、避難所としても、誰でも利用できる学校にしなければ」と、現在は学校施設を改修する好機との認識を示した。

日本障害フォーラムの阿部一彦代表は「多くの学校は洋式化率が低く、障害のある人が学校を利用した時は、トイレの問題が非常に大きい。数値目標をつくってバリアフリー化を考えていくのがいい」と、具体的な目標に言及した。

東京都八王子市立第七中学校の三田村裕校長は「すでにバリアフリー化されている部分でも、点検や確認が必要。古い校舎の学校では、急角度のスロープも少なくないと思っている」と、見逃されがちな問題点を提起した。

文科省は学校施設のバリアフリー化に関して年内に報告の取りまとめをし、国の推進策を含めて次年度の施策につなげていきたいとした。

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