少人数学級 文科相「来年度からの段階的実施も検討」

ポストコロナ期の学校像として急浮上してきた少人数学級について、萩生田光一文科相は8月4日の閣議後会見で、「教員増や施設改修に一定の時間は必要」としながらも、「やるとなれば、今までとはスピード感を変えて、しっかり前に進みたい」と説明し、改めて実現に意欲を見せた。会見終了後の同日夕には、発言内容を補足する報道向けのコメントを出し、文科省として「来年度からの段階的な実施も含め、検討したい」と踏み込んだ考えを示した。文科省では、9月末の来年度予算概算要求に向け、少人数学級を段階的に実施するために必要な教員の確保などを本格的に検討するとみられる。

少人数学級の実現について、質問に答える萩生田光一文科相

萩生田文科相は、新型コロナウイルス感染症への対策として、学校現場から少人数学級への期待が出ていることについて、「今やっているようなクラスを分散したり、加配教員によって授業を行ったりすることで対応していきたい」と説明。少人数編成の対応を含め、学校全体の指導体制の充実を図る目的で、今年度2次補正予算に教員加配、学習指導員、スクールサポートスタッフの追加配置分合計約8万5000人分を計上し、このうち6万7000人分を7月に内示済みだと述べた。

さらに「いまの段階の延長として、このまま少人数学級にできないのかと問われれば、それはちょっと乱暴な議論だと思う」と話し、現在行われている分散登校や教員の加配を続けて、そのまま少人数学級につなげることはできないとの認識を明らかにした。

その上で、少人数学級の実現について、「過去に45人学級から40人学級にした時のように、教員増や施設の改修なども必要になってくる」と指摘。「だから、一定の時間は必要だと考えているけれども、やるとなれば、今までとはスピード感を変えて、しっかり前に進みたいと思う」と述べた。

公立小中学校の学級規模は「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」(義務標準法)に定められている。45人学級から40人学級への移行は1980年度から学年進行で進められ、全ての学年が移行するまでに12年間を費やした。

萩生田文科相は「現段階では、いろいろな地域の感染状況を踏まえて、子供たちの学びを最大限に確保することに努力したい。感染拡大を防止するために少人数学級をできるところはやってもらい、それに必要な費用や人員は配置する」と説明。「この状況はコロナが終息しない限り、続けていかなければならない」と述べた。

続けて「逆に言うと、来年度から少人数学級をスタートしようとしても、(教員確保や施設改修など)物理的にちょっと無理だと思う」と指摘。「教育再生実行会議で課題を整理し、中教審に諮る必要があるかもしれないが、そうした手続きを踏みながら進めていきたい。ただ、(40人学級への移行時のように)最初から12年かけるような、そういうスピード感ではない」と話した。

この部分の発言について、萩生田文科相は同日夕、発言内容を補足するコメントを報道向けに発表した。それによると、「少人数学級について、『制度上、来年の4月からスタートするのは難しい』と発言した趣旨は、来年度から直ちに全ての学年において、少人数学級を実施することは、施設面や人材確保の面でも困難である、という趣旨」だったと説明。その上で、文科省として「来年度からの段階的な実施も含め、検討したいと考えている」と踏み込んだ。

少人数学級の実現には、教員の増員と人材確保の問題を避けて通れない。施設面では、教室の大きさを見直す必要性が浮上しているほか、GIGAスクール構想による1人1台端末の整備に伴って、机のサイズを変更する案も出ている。いずれも予算措置が必要になるため、少人数学級を来年度から段階的に実施するためには、9月末の来年度予算案の概算要求に向けて、具体的なプラン作りが求められることになりそうだ。

少人数学級を巡っては、新たにスタートした政府の教育再生実行会議で、7月20日、「新しい時代の学びの環境」として、「少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備」と「ICTの活用などの環境整備」が提起され、学級編成の標準を現在の40人から30人程度にするべきだとの意見がおおむね支持された。来年5月をめどに提言をまとめる。また、地方自治体の首長らが必要な教員の確保と合わせて政府に少人数学級の実現を要望しているほか、全日本教職員組合(全教)の学校実態調査でも学校現場の声として多く挙げられている。

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