ゲームを通して「考える」平和学習 長崎の高校生が挑戦

ゲームを通して考える、新たなアプローチの平和学習――。長崎県原爆資料館で、長崎県立長崎東高校と活水高校の生徒8人が参加し、ゲーム形式で平和を考えるワークショップ「Peace Games」が開かれた。

1台のホールケーキで平和について考える「Peace of Cake」に取り組む高校生

「Peace Games」は電通Bチームが開発したプロジェクトで、企業の新商品開発などで使われてきたアイデア発想の支援プログラムを平和学習に応用。平和構築に必要なコミュニケーション力や課題解決力を、ゲーム感覚で楽しみながら身に付けられるという。今後は修学旅行生や学生向けに提供していくとしている。

行われたのは8月2日で、プログラム開発チームの中心メンバーである電通の鳥巣智行氏が、リモートでファシリテーターを務めた。鳥巣氏は長崎県出身の被爆3世で、高校時代から「高校生1万人署名活動」など平和活動に取り組んでおり、「終戦から75年がたち、戦争体験者は高齢化している。これまで過去を学ぶことを中心に設計されてきた平和学習にも、新たな形が求められている」と開発の経緯を話す。

高校生は4人ずつのチームに分かれ、2種類のゲーム形式のワークショップを体験。そのうち、1台のイチゴのホールケーキを囲って平和について考えるワークショップ「Peace of Cake」では、チーム全員でいかにケーキを平和的に切り分けるかを考えた。

議論の途中では、「腹ペコ」「四角主義」「イチゴが苦手」「クリーム大好き」などのキャラクターカードをめくり、出たキャラクターとなってディスカッションを重ねていき、最終的にチームごとに「あなたが思う最も平和に思う分け方」について発表した。

高校生は「最初は4等分することが一番平和的な分け方だと思った。しかし、キャラクターが与えられることで、それぞれの要望を取り入れながら『本当に平和な分け方とはどういうことなのか?』を考えていくと、みんなの考えがどんどん変わっていった」と話した。

鳥巣氏は「いろんな意見や価値観、主張を持った人がいる中で、どうやってケーキを分けていくのか。正解がない中で、それをチームで考えていくことが大切だ。ケーキ分けで起きたことが、地球上でも起きているかもしれない。みんなが少しずつ歩み寄ることを学んでほしい」と強調した。

ワークショップ後、活水高校の生徒は「今回のようなゲーム感覚で楽しめる平和学習なら、興味がない人にも興味を持ってもらえるのではないか。平和学習が難しいものではなく、身近で楽しいものに思えた」と話した。

また、長崎東高校の生徒は「これまでの平和学習は過去の戦争の悲惨さを知ることで、『戦争はやってはいけない』という結論に達するような学びが中心だった。でも今回のワークショップは、未来志向の平和教育で、平和に対して前向きな考えを得られると思った」と振り返った。

鳥巣氏は「コロナ禍で修学旅行が中止や延期されるなどしているが、今回、オンラインでもこうした新しい平和学習に取り組める可能性が見えた」と手応えを話した。

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