思い思いの実験に没頭 理科好きを育てる「科学研究所」

8月7日、東京都品川区の義務教育学校、区立豊葉の杜学園(二宮淳統括校長、児童生徒1009人)の理科室には、白衣を着て熱心に実験をする“研究員”たちの姿があった。同校が今年8月から開始した課外活動「HYM(豊葉の杜)科学研究所」の取り組みで、この日は児童生徒4人が参加。理科教育に知見の深い外部の講師が指導に当たった。子供たちからは、自分で決めたテーマで思い切り探究できる機会を歓迎する声が聞かれた。

カブトムシの幼虫を観察する児童生徒

この活動は単に実験を楽しむことにとどまらず、個別に科学的な課題研究に取り組み、積極的に探究活動をする力を伸ばすのを目標にしている。提案した理科の江連(えづれ)知生教諭は「児童生徒が専門的・自主的に活動できる場所があったらよいのではないかと考えた」と話す。

運営の中心は区が推進する品川コミュニティ・スクールの組織、学校支援地域本部で、“所長”として児童生徒の指導を担うのは、区立中学校の理科の教員として長年勤務した後、現在は他区で講師をしている牧野順子氏。

牧野氏は、品川コミュニティ・スクールで学校運営を担う校区教育協働委員会の一員。牧野氏を招くことで、自校の教員に過剰な負荷をかけることなく、個別に専門的な指導を行えるよう工夫した。

科学研究所に参加を希望する児童生徒が提出した「研究計画書」

参加できるのは小学5年生以上とし、参加を希望する児童生徒には「研究計画書」を提出させた。「相当、理科が好きで、研究を極めたいと思っている子が集まった」(二宮統括校長)。集まったメンバーは小学6年生から中学3年生までの男女5人で、研究テーマはカブトムシの生態、学校周辺の植物、免疫細胞の働きなど幅広い。

メンバーの一人、中学3年生の吉田航輝さんは以前、牛乳パックを水で洗ってリサイクルに出すとき、臭いを消すため大量の水が必要になることが気になった。「牛乳の成分を環境にやさしい形で分解できないか」と考え、研究を構想。「普段の授業とは違う機会が得られ、よい刺激になる。自分で一から研究を進めることができるのは素晴らしい」と喜ぶ。

一人一人の研究計画にフィードバックを行う牧野順子講師(右)

科学研究所では各自の実験のほか、全体で集まり、自分の研究について発表したりする機会も。牧野氏から講評をもらい、子供たちが熱心に質問する姿が見られた。

今後も金曜日の夕方や土曜授業日の午後などを活用して、定期的な開催を予定している。二宮統括校長は「子供は自分の得意なことがあると、それがお互いに高め合うきっかけになる。自校の教員だけでは難しくても、品川コミュニティ・スクールの制度を活用して、個に応じたさまざまな活動ができる」と話す。

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